その子の内側の体験の世界38

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育て支援

「その子の内側の体験の世界」第38回目を解説します。
 キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
 また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。

「その子を知る」37
○葛藤を乗り越える
 フロイトは、このコンプレックスにおける葛藤がどのように解決されるに注目しました。
 葛藤とは、互いに矛盾した両立しにくい願望を同時に抱えたときに生じる心理現象です。
 乳児期から幼児期の前半までは、子どもは願望がかなったときの充足感とかなわないときのフラストレーションしか知らなかったときに、ここではじめて相矛盾する願望がもたらす葛藤というものに陥ります。子どもにとっては、はじめての葛藤なのです。
 フロイトは、男の子は父親を押しのけて母親を独占したいという不可能かつ葛藤をもたらす願望から発想の転換をして、エディプス・コンプレックスを乗り越えると考えました。
「そうだ、僕もお父さんみたいになればいいんだ。そうすれば、お母さんは僕を好いてくれるだろう」と。これにより、男の子は父親を男性モデルにしてより男の子らしく、女の子は母親をモデルし、より女の子らしく育っていきます。つまり、性別アイデンティティを確かなものにし、自己確立をしていくのです。
 しかし、こうした解きほぐしに失敗して、エディプス・コンプレックスを未解決のままずっとひきずると自己確立に問題を残したり、後々まで葛藤の処理につまずきやすくなり、心理的な失調に陥るリスクが高まるとフロイトは考えました。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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