言葉のはじまり2
「その子の内側の体験の世界」第38回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」37
○葛藤を乗り越える
フロイトは、このコンプレックスにおける葛藤がどのように解決されるに注目しました。
葛藤とは、互いに矛盾した両立しにくい願望を同時に抱えたときに生じる心理現象です。
乳児期から幼児期の前半までは、子どもは願望がかなったときの充足感とかなわないときのフラストレーションしか知らなかったときに、ここではじめて相矛盾する願望がもたらす葛藤というものに陥ります。子どもにとっては、はじめての葛藤なのです。
フロイトは、男の子は父親を押しのけて母親を独占したいという不可能かつ葛藤をもたらす願望から発想の転換をして、エディプス・コンプレックスを乗り越えると考えました。
「そうだ、僕もお父さんみたいになればいいんだ。そうすれば、お母さんは僕を好いてくれるだろう」と。これにより、男の子は父親を男性モデルにしてより男の子らしく、女の子は母親をモデルし、より女の子らしく育っていきます。つまり、性別アイデンティティを確かなものにし、自己確立をしていくのです。
しかし、こうした解きほぐしに失敗して、エディプス・コンプレックスを未解決のままずっとひきずると自己確立に問題を残したり、後々まで葛藤の処理につまずきやすくなり、心理的な失調に陥るリスクが高まるとフロイトは考えました。
次回に続きます。