その子の内側の体験の世界35
「その子の内側の体験の世界」第30回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」29
○リビドー
フロイトは、性愛が精神発達を推し進める原動力とすれば、その力を生み出すエネルギーが必要なはずと考えました。
フロイトが生きていた時代は、エネルギーとは物理学で確立された先端科学的なものの時代でした。
フロイトは、この仮想上のエネルギーを「リビドー」と名付けました。欲望を意味するラテン語です。リビドーとは、いずれは科学的に測定されるはずの生物学的な実体性を備えたエネルギーとフロイトは考えていました。
物質活動がエネルギーの動態として導くのであれば、精神活動はリビドーの動態として導き出せるのではないかという、個人の心の世界をメカニカルな物理に置き換えたのです。
つまり、人間はそのつどそのつどいろいろな対象に思いを向けながら生きています。何に思いが向けられるか、どのくらい強く向けられるかなど、そこにリビドーという抽象的かつ量的なものの動きとして法則的にとらえようとしました。
次回に続きます。