マザリング
「その子の内側の体験の世界」第27回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」26
○関係の発達(フロイト)
ピアジェの発達論は、基本的に認識(理解)の発達の歩みを論じたものでした。
次に解説する、フロイトの発達論は、基本的に関係(社会性)の発達の歩みを論じたものです。
フロイトは、ウィーンで育ち、中枢神経系の脳病理学的研究からスタートして、脳性まひや失語症の研究をした医学者でした。
ピアジェが知性の合理性や論理性の獲得過程を研究したのに対して、フロイトは人間のこころの非合理性を研究しました。
フロイトはピアジェとは逆に、人間の本質ないし精神の本質を非理性的なものや非合理性に求めました。
神経症患者とは、脳性まひや失語症とは違い、脳組織にこれという病変が見いだせないにもかかわらず、心身に様々な非合理な現象をおこす患者でした。
神経症の成り立ちとその患者の生い立ちには何らかのつながりがあるのではないかという問題意識から、フロイトは精神発達に関心を向けました。
そこにおいては、人とのかかわりや関係の発達がフロイトの関心の中心となり、それを軸にした発達論が生み出されました。
次回に続きます。