バブリングからやりとりが始まる
「その子の内側の体験の世界」第21回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
「その子を知る」20
○論理的に世界をとらえる準備
乳児期から幼児初期の時期に、隣の部屋に消えたお母さんの姿がまた現れます。イナイイナイバアでお母さんの顔が隠れてはまた出てくるといった体験の繰り返しを通して、言葉に翻訳すれば「事物は見えなくなっても、ちゃんとあり続けている」というシェマができあがります。これをピアジェは「対象の永続性」と呼びました。
このように感覚運動期を通して、様々にものごとを観察したり、ものを自分の口や手足で扱ったりという日々を積み重ね、ものごとの「永続性」に加えて、ものごととものごとの間には「つながり」や「因果」があるらしいことを赤ちゃんはとらえていきます。(赤ちゃんが泣けば、お母さんが現れる。ガラガラは振れば音がするなど、赤ちゃんはシェマをつくっていきます。)
ものごととものごとを関係としてとらえたり、因果としてとらえてつなぐところから、初めて「論理」というものが紡ぎ出されます。論理的に世界をとらえ、それに基づいて世界を生きるという知性のはたらきの土台が、この感覚運動期に準備されています。
次回に続きます。