これからの子どもたちへの教育について
今月2日、母親の胎盤や母乳から子どもに渡されて免疫力を高める抗体は、子どもの脳の発達や行動にも影響を与えると群馬大学などの研究グループが発表しました。
研究グループは「子どもがより健全な状態で成長できる環境づくりにつながる」として今後、さらに研究を進めることにしています。
群馬大学大学院医学系研究科の定方哲史准教授などと富山大学のグループによりますと、母親の胎盤や母乳から子どもに渡される抗体は、免疫力を高めることが知られているものの、脳に与える影響については、わかっていなかったということです。
このためマウスを使った実験で調べた結果、幼児期のマウスの脳では、細胞の一種である「ミクログリア」に、母親の抗体が結合していることを発見したということです。
また、抗体が結合した「ミクログリア」が「1型インターフェロン」というたんぱく質を分泌することがわかったということです。
一方、母親の抗体が渡されないようにしたマウスでは、「ミクログリア」などの神経細胞が減少したほか、ほかのマウスに接触する時間が増えるといった行動の変化が見られたということです。
「ミクログリア」については、当コラム「グリア細胞3」で解説しています。
これらの結果から研究グループは抗体が子どもの脳の発達や行動にも影響を与えると結論づけました。
ただ、結果をヒトに置き換えた場合に、抗体による脳の発達への影響がよいのか悪いのかは解釈が難しいとしています。
研究グループは「研究成果は子どもがより健全な状態で成長できる環境づくりにつながる」と述べ、今後、さらに研究を進めることにしています。
母乳の適切な与え方や母親の病気などによる母乳を授乳できない乳児に抗体濃度の人工ミルクの開発にもつなげたいと今後さらに研究を進めていくとのことです。
(終わり)