記憶3
<レム睡眠とノンレム睡眠>
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の二つがあります。レム(REM)とは、高速眼球運動(Rapid Eye movement)のことで、睡眠中に眼球がまぶたの下で素早く動く状態のことです。レム睡眠は、身体はリラックスしていて、レムが起こっている浅い睡眠状態をいいます。
一方、ノンレム睡眠は、レムのない深い睡眠です。睡眠中は、この二種類が交互に訪れます。
夢の内容まで覚えているのは、起きる直前の夢なので、覚えている夢は、主にレム睡眠中の夢なのです。レム睡眠は90分周期で、1回10分から30分程度現れ、私たちが「夢」といって思い浮かべるいわゆるつじつまが合わなかったり、奇想天外だったりする夢をみることがあります。
<記憶整理とひらめきの時間>
なぜ夢をみるのか、その理由はわかっていません。ただ、睡眠中の脳が行うことの一つに、起きている時の行動や記憶を再現、整理し、必要な情報を定着させることがあり、夢はその活動に関わっている可能性があります。
学校の勉強などで、昼間はどうしても覚えられなかったことが、一晩寝たらあっさり暗記できていたという経験がある方も多いかもしれませんが、それが定着の成果なのです。
それを裏付けるように、睡眠中の脳では、覚醒中に見られるα(アルファ)波が出ているうえ、記憶を担う海馬からは、記憶処理中に見られるθ(シータ)波が出ているという実験結果があります。
睡眠中の記憶の整理や定着に夢が関係するなら、なぜ、日常ではありえない荒唐無稽な夢を見るのでしょうか。
それは、海馬や大脳辺縁系といった記憶に関わる部分は覚醒しているものの、論理的な思考や判断を担う前頭前野は眠っているためだといわれています。海馬に保存された記憶などが無秩序に現れても、受け入れてしまうからです。
ただし、夢を無秩序にする、例えば別の日の記憶が突然差し込まれることもまた意味があると考えられています。意識的には気づけなかったひらめきにつながっているものです。
それは、ビジネスにおいて新しい企画を作ろうとすると時に、あえて、まったく異なるものを組み合わせることにも似ています。夢のしくみの奥はさらに深くなります。
次回に続きます。