その子の内側の体験の世界27
しつけは直接的には、自分でお手洗いが使えるとかスプーンや箸を使いこなせる、衣類の脱着ができるなど「身辺自立」を目的としています。が、それだけではありません。しつけを通して幼児が、世界にはいろいろな約束やルールがあって、それはたいせつなものだという体感とその約束やルールに従って、欲求や衝動を自分でコントロールする力を身につけるところに精神発達上の大きな意味があります。
排泄の欲求が起きてもオマルに座るまでは抑える。空腹でも食事の時間まで待つ。目の前にご馳走があっても「いただきます」の挨拶が済むまでは食欲を抑える。などコントロールはこうした抑制から始まります。しかし、抑制がコントロールではありません。一旦オマルに座ったらがんばって排泄に努めます。「いただきます」をしたら食べることに力を注ぎます。というように、衝動や欲求を満たす方向にコントロールが向かうことがたいせつなのです。衝動や欲求は、必要があって生じるものなのです。
次回に続きます。