その子の内側の体験の世界5
模倣によって大人の行動を子どもがなぞれるようになると、それを社会的・文化的な約束やルールに則した行動の習得へと導く大人からの働きかけがはじまります。これが「しつけ」というもので、1歳過ぎ幼児期に入ると行われるものです。
排泄をどこでしようと生存には問題はありません。食事を箸で食べても手づかみで食べても栄養には変わりはありません。だからといって放っておく養育者はおりません。排泄はお手洗いで、食事は箸と茶碗でというのが、私たちが社会的・文化的に共有している約束です。わが子が自分たちと同じ「社会的な存在」へ育つことへの親の願いがしつけを促します。
それは、愛着的・性愛的なつながりで結ばれた親だから「こうしようね」と差し向けられるため、理屈抜きに幼児は取り組みます。また、親自身もお手洗いを使い、箸と茶碗で食べているから幼児も「自分もそうしたい」と積極的に真似をしようとするのです。
ここでの「しつけ」ですが、訓練ではなく、親子間の親和的な交流性が土台になっています。
次回に続きます。