その子の内側の体験の世界6
赤ちゃんにとって、周りの世界は未知なものごとばかりです。
わからないことや対処できないことに囲まれて生きています。
幼い子ほど不安になりやすく、よく泣くのはこのためでしょう。
乳児期には、身体感覚的な不快への反応からの啼泣でしたが、幼児期になるにつれて情動的な不安や混乱への反応として泣くことが多くなります。
このような状態でも、赤ちゃんの探索活動は重ねられ、どんどん既知のものが増えていきます。
これは、混沌に包まれていた世界が、次第に馴染んで入りもの「既知」と馴染んでいないもの「未知」とに分かれて、「未知」が明確に意識されるようになります。その結果、未知のものへの不安や警戒がはっきり現れてきます。
例として、平均およそ生後8か月前後に現れる「人見知り」です。
見慣れない対象に直面したとき、とりわけその対象が接近的に現れてくる「ひと」の場合に乳児が示す強い情動的な不安と警戒を、人見知りと呼んでいます。
このとき、まだ自分で身の安全を守れない幼児は、既に馴染んでいる対象の親にくっつくことで安心感を得ようとします。
知らない人に出会った幼児が母親にしがみつくことや母親の胸に顔をうずめるなど、「アタッチメント」を繰り返し、身の安全を確保し、親と安心の共有を図ります。
次回に続きます。