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神経発達症(発達障害)のケア

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:運動による心身の発達

 前回の最新の研究である「アストロサイト」に注目し、脳機能疾患の治療法の確立に期待したいと思います。
 ただ待っているだけではなく、私たちにこれからもできることがあります。
 「アストロサイト」の異常が神経発達症(発達障害)に関わっていることで、今まで述べてきたことにつながりがみえました。
 そして、これがやはりケアになると思っています。それは「楽しい、心地よい運動」でした。
 前回の米国の研究チームで、脳の発達を助けるホルモンであるインスリン様成長因子(IGF)の遺伝経路を阻害する「IGFBP2」と呼ばれるたんぱく質が発見されました。このたんぱく質で阻害されていないインスリン様成長因子(IGF)を増やすことが、神経発達症(発達障害)のケアになるのではないかと思います。
 インスリン様成長因子(IGF)は前にも説明しましたが、活動中の筋肉がさらに多くの燃料を必要とするときに放出されるホルモンです。グルコース(ブドウ糖)は筋肉にとって主要なものですし、脳にとってはこれが唯一のエネルギー源であり、インスリン様成長因子はインスリンと協力して、グルコースを細胞まで運んでいます。脳のエネルギー源であるインスリン様成長因子(IGF)は、学習に関連するはたらきをしています。
 インスリン様成長因子(IGF)は、※運動しているときに、BDNF(脳由来神経栄養因子)によってその量を増やします。そして、インスリン様成長因子は神経細胞(ニューロン)を活性化させて、信号を送る神経伝達物質のセロトニンやグルタミン酸を盛んに作らせています。また、インスリン様成長因子はBDNF受容体の生成を促し、神経細胞(ニューロン)の結びつきを強くして記憶を確実なものにしています。BDNF(脳由来神経栄養因子)は、特に長期記憶にとってたいせつなものです。(※運動しているときとは、「楽しい、心地よい運動」という意です。解説済)
 では、インスリン様成長因子(IGF)を増やすBDNF(脳由来神経栄養因子)とは何でしょうか。
 BDNF(脳由来神経栄養因子)は、シナプスの可塑性を促進さるメカニズムの中心的役割をします。シナプスの可塑性とは、学習を繰り返したシナプスはそのものが大きくなり、結合がより強くなります。そして、神経細胞(ニューロン)の樹状の枝に新しいシナプスが増えたり、新しく枝が出てシナプスを形成したりして、さらに結合を強くします。
 BDNF(脳由来神経栄養因子)は、シナプスの近くの貯蔵庫に蓄えられ、血流が盛んになると放出されます。その際に、体内の多くのインスリン様成長因子などのホルモンが招集され、そのプロセスの手助けをします。※運動すると、これらの成長因子が血液や脳関門を通過し、脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)と協力して学習に関わる分子メカニズムを活性化させます。
 ※運動中は、脳内の幹細胞の分化のはたらきがより顕著になります。さらに重要なのは、こうした因子が身体と脳の直接的なつながりをもっていることなのです。(※運動しているときとは、「楽しい、心地よい運動」という意です。解説済)
 インスリン様成長因子(IGF)を増やすように、BDNF(脳由来神経栄養因子)を増やすことができれば、神経発達症(発達障害)のケアになると思います。
では、前述の「この血流が盛んになるとBDNF(脳由来神経栄養因子)が放出される」とは、どのようなときなのでしょうか。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

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