「体育」は、からだを育てることが最終目的
今回も、脳のお話です。
脳内の細胞で大多数を占めるのは、神経細胞(ニューロン)ではなくグリア細胞(神経膠細胞)です。神経細胞(ニューロン)の10倍もの数のグリア細胞が、脳を空間的に支えたり、栄養を与えるなどの生化学的な支援を行うことで、脳の複雑な情報ネットワークを稼働させています。
グリア細胞には、アストロサイト(星状膠細胞)という星状の複数の突起をもっている細胞があります。この複数の突起を、神経細胞(ニューロン)の各部位や脳内を走る毛細血管などに伸ばして接合し、神経細胞(ニューロン)が複雑に絡み合う立体構造を支えています。
アストロサイトは、太く短い突起をもつ形質性アストロサイトと細長い突起をもつ線維性アストロサイトに分けられます。この二つのアストロサイトの基本的な役割は、神経細胞(ニューロン)周辺の環境バランスを維持することです。例えば、シナプスを包むように存在することで、シナプスで放出された神経伝達物質がシナプス間隙外に拡散しないように防いでいます。
また、アストロサイトは、血液中の不必要な物質が脳内に入り込まないように、血液脳関門の役割も果たしています。突起先端で毛細血管の外壁を覆い、脳への物質の移動を制限しています。例えば、水や二酸化炭素、酸素は容易に通しますが、ナトリウムやカリウムなどの電解質は制限されます。これにより、神経細胞(ニューロン)は常に一定に保たれているのです。
脳の細胞には他にも、オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)、ミクログリア(小膠細胞)などがあります。
神経細胞(ニューロン)は、軸索を伝わる電気信号を他に漏らさないように、周囲を髄鞘(ミエリン鞘)という脂質に富んだ絶縁組織で覆っています。軸索をらせん状に幾重にも取り巻くこの膜を供給しているのが、オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)です。オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)は、中枢神経系にのみ存在し、末梢神経系では、シュワン細胞がその役目を果たしています。オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)は、一つの細胞で複数の軸索の幕をつくっていますが、シュワン細胞は一つの細胞が一本の軸索の軸だけをつくっています。
ミクログリア(小膠細胞)は、死滅したり損傷を受けたり、炎症を起こした神経細胞(ニューロン)を貧食して処理する細胞です。
上衣細胞は、脳室や脊柱管の内壁を覆います。
次回に続きます。