発達段階における子どもの運動(仕事)2
前回、「身体を活発に動かすほどに脳を変えられる」つまり、神経回路に変化を与えられます。神経回路に変化を与えるとは、新しい脳のネットワークが形成されるということです。これをシナプスの可塑性といいます。新しい脳のネットワークとは、保護者の皆さまがお考えになる「定型発達」にということです。神経細胞の刈り込み前、つまり子ども期に早期にケアすることが重要になります。と解説しました。
子どもの精神発達を推し進める力には、脳の生物的な基盤と栄養や感覚的な刺激のほかに、人間として社会的に文化的に創り出してきた人間同士の共同世界で生きていく力が必要です。つまり、すでに精神発達を遂げている、この世界を社会的に文化的に共有している人々(養育を中心とする大人たち)からのはたらきかけが必要であり、しかも、大人からのはたらきかけだけではなく、子どもの側にもそれに応えたり、子どもの側からも大人へ能動的にかかわろうとする力が必要となるのです。
精神発達とは、一個の個体として生まれた子どもが、感覚を共有し、情動を共有し、関心を共有し、ふるまいを共有し、認識を共有するというように、周りの人びととの分かち合いを進めて、社会的・共同的な存在へと育っていく歩みです。つまり、発達の歩みと共に私たちの体験のしかたは基本的なところはみんなと同じになっていきます。これが「定型発達」というものです。
この精神発達を「活発に、身体を動かすこと」で、また、人間同士の共同体験を持つことにより、脳の可塑性を促し、その子の精神発達を推し進める力を促進させたいのです。次回に続きます。