身体が脳をつくる
前回、発達障害のケアには「活発に、身体を動かすこと」が必要であることを説明しました。「活発に」とは、自ら、自主的に、自分の意思で、自己決定でなど他の人が指示、命令、指導など関与しない、「心地よい身体の運動」が必要ですと解説しました。
保護者の皆さまで、特に発達障害の原因や要因などを追い求めていらっしゃる方が多数いらっしゃいます。原因や要因などには先天性や後天性の誘発があります。ここではそれらを詳しく紹介しませんが、妊娠期の母体ストレスや免疫異常そして子どもの虐待などがあります。「発達の障害」とてもキツイ言葉です。これからは発達障害を「神経発達症」と称するようにします。神経発達症は脳の機能障害なのです。わが子が神経発達症ではないかの原因や要因を追い求めていても、わが子のケアにはなりません。繰り返しますが、わが子のケアを考えてみませんか。
ケアについて、私の研究事例や参照文献などについて、重複するかと思いますが、今後数回解説します。
子どもの心身の発達をとらえていく場合、通常は「わかること(理解する)」と「できること(スキル(教養や訓練を通して獲得した能力(技能))の獲得)のどちらかにポイントを置くかで立場が分かれます。
吉田は、子どもが自分なりに「わかること」と「できること」を生み出す心の働きそのものの発達を明らかにしようとしてきました。(「子どもの発達の意欲値及び自分の伸びしろ値理論」)「わかる」と「できる」という働きは、子ども自らの気づき、発見です。
吉田は、子どもと対象との相互作用のなかで何らかの新しいものの産出があり、そうした創造のプロセスが子どもの心身の発達の本質であると考えています。そして、子どもが自らわかったことや自らできることに基づいて反応することが発達です。
子どもは自らわかったことやできることを他者と共有し合うなかで、すなわち、他者による承認、他者との協働、他者との共同体の感覚などを経ながら、次第にそれを自覚し、意図的に試み、生きる力にしていきます。
吉田は、このように子どもの心身の発達支援には、子どもが自らの「わかる」と「できる」という働きを基盤にし、子どものイニシアティブ(物事を率先して行うこと)を尊重しながら進められることが重要と説きます。つまり、子ども自身が自分で「わかる」と「できる」ことを表出させることを助長する活動支援が必要不可欠です。ご父母の方や子どもの活動を支援している方も、子どもの心のなかに何を産み出していくべきかをテーマにしながら、子どもに対して発見的・創造的に関わっていく必要があります。次回に続きます。