子育て、保育、教育とは、脳を育てること
前回、発達障害のケアには「活発に、身体を動かすこと」が必要であることを説明しました。
「活発に」とは、自ら、自主的に、自分の意思で、自己決定でなど他の人が指示、命令、指導など関与しない、「心地よい身体の運動」という意味です。つまり、学校教育の知識の習得や競技スポーツなど同じ型、方法などの優劣の評価や勝敗にこだわるものではない運動ということを保護者の方はご理解ください。これを行っても、知識や型、方法を覚えなければならないという不安や恐怖など、子どもの脳にはストレス性分泌物しか派生しません。このストレス性分泌物は、脳の海馬に悪影響を起こします。つまり、子どものケアにはならないということです。また、「勝敗のみに拘る」競技スポーツの団体や指導者は、子どものケアのためにはなりません。
それでは、どのような運動がいいのでしょうか。
私の研究では、これを「子どもの発達の意欲値及び自分の伸びしろ値」理論と謳い、テニス指導で実践しています。簡単に説明すると、子ども自身が自分で何かできそうな気がする気持ちを持ち続けることなど、自分で考え行動し、結果的に自分自身でできた値は、自分自身の発達であるということです。そして、自分でできたときの喜び、笑顔そして自信につながる意欲をみたのです。詳しくは、後日紹介します。
この「心地よく、楽しい運動」について、アメリカの医学博士ジョンJ.レイティ氏は著書において、「まず、気持ちがよくなり、頭がすっきりし、注意力が高まり、やる気が出てくるもの」「新しい情報を記録する細胞レベルでの基盤としてニューロン同士の結びつきを準備し、促進するもの」「海馬の幹細胞から新しいニューロンが成長するのを促すもの」と説いています。また、具体的な運動としては、心血管系と脳を同時に使うスポーツで、例えばテニスをするか有酸素運動を伴った不規則的なリズムに合わせた運動が効果的です。(「脳を鍛えるのは運動しかない」NHK出版 p67-71)
次回は、「楽しく、心地よい身体運動」を実践している法人をご紹介いたします。