学業不振のとらえと支援③
前回の発達障害の7つの分類の保護者の苦労や対応について説明します。
知的能力障害群(知的障害)です。特徴は、全般的な知能の障害です。定型発達の子どもたちと比べて、社会的、対人的、コミュニケーション能力、生活能力など日常の適応機能の障害があります。発達期に発症します。対象者は、なぜうまくいかないのかわからないという思いなのです。保護者の苦労は、漠然とした希望と不安そして焦りと強制です。対応は、わが子の「今の力」を正しく理解すること、できることや興味のあることから始めること、生活のまとまりをつけることをたいせつにすることです。
次に、コミュニケーション症群です。特徴は、表出、受容言語能力のつまずきや構音が不明瞭、吃音、言語や非言語的なコミュニケーションのつまずき、明確なこだわりや感覚異常を認めようとしません。対象者は、自分の思うように表現できないことなどでのイライラや嫌悪感などです。保護者の苦労は、イライラと焦り、怒りや不安、不憫さ、申し訳なさがあります。対応は、聞き返しはしない、つまり、苦手意識、恥ずかしさをつくらないことです。また、加齢にしたがって改善する可能性がありますので焦らないことです。
次に、自閉スペクトラム症です。特徴は、社会的コミュニケーション及び相互関係の障害、社会的相互関係の発達の障害、言語性・非言語性コミュニケーション能力の発達の障害などです。対象者は、自分が「わからない」という強い不安があります。保護者の苦労は、理解してもらえないことの憤りやきびきびしたものの言い方や冷たく硬い印象を与えます。対応は、変化を嫌い、恐ろしがるしぐさがあので、視覚的印象を活かしたものにします。また、強制しない一貫性のあることがたいせつで、わが子の安全性を保持します。
次に、注意欠如・多動症(ADHD)です。特徴は、12歳までに、2か所以上で6カ月以上にわたり発生し、他の障害の経過中の症状では説明できない、異常な不注意・多動性・衝動性です。対象者は、自分では「わかっている」のに自己制御不能やうまくできないことのもどかしさです。保護者の苦労は、常にイライラした関係があり、周囲から非難をうけやすいですし、自責とわが子への攻撃性が生じます。対応は、行動を統制するためのチェックリストなどを利用します。自己評価を下げないためにも「良い」評価とできることを保証してください。何といっても保護者のサポートが必要です。
次に、限局性学習症(学習障害、LD)です。特徴は、学習や学業的技能の困難さや読み書きの困難さ、読んだものの意味の理解の困難さや書字の困難さや数学の概念、計算の習得の困難さ、数学的推論の困難さです。対象者は、自分では「なぜできないのだろう」などと混乱します。保護者の苦労は、わからない相手への関わり方に、何かわからないかがわかりえないところにあります。対応は、わかりやすい教え方や身体のバランスの強化や感情の表現と理解を促します。
次に、発達性協調運動症です。特徴は、運動面の不器用、協調運動のつたなさです。対象者は、みんなができるように、体が動いてくれない不自由さの思いです。保護者の苦労は、イライラと焦り、怒りや不安、不憫さ、申し訳なさが生じます。対応は、競争的競技(勝ち負けだけの競技)に無理に参加させないことや適切な手助けをすることや時間がかかりますが徐々に身のこなしが滑らかになります。
最後に、そのほかの神経発達症群です。診断基準を満たさない例で、胎生期母体からのアルコール暴露症候群などが含まれます。胎児やそれ以前の保護者や対応については、後日の「脳の可塑性」で説明したいと思います。