「ギフテッド」ではなく「特異な才能のある子ども」の支援について
皆さま、訪問ありがとうございます。子育てに迷っていらっしゃる方に少しでもご支援ができればとコラムを書いております。私は医師ではありませんが、皆様の日々の子育ての迷い戸惑いの一助になればと思い、滝川一廣先生著「子どものための精神医学」医学書院 2017 を参考文献の主としてご紹介させていただいております。同書は「子どものための」精神医学の専門書ですから難しいかもしれませんが、子育ての皆さまや子どもさんを託している学校などの先生やスポーツや学習塾などの指導者においてもとても参考になります。特に今様々に報道(体罰、暴言、勝利至上主義等)されていますように学校の先生やスポーツの指導者は、子どもたちそれぞれの発達を理解するためにも必読すべきもと考えます。滝川先生は、「教員、保育士、看護師、心理士などをはじめ、さまざまな子どもたちにかかわる職域にある人びと、そしてもちろん親たちにとって、子どものこころの病気や失調、障害を理解したりケアしたりするために役だつことをめざす本である。子どもの診療にあずかる医師にも役立てばと願っている。」と著書についてコメントしています。私にとってとてもたいせつなそして心強さをもたらしてくれる本です。
子どもと接するとき「こうあるべきだ」と型にはめるのではなく、「こうであってもいい」と自分力を許容できる社会が求められております。つまり、それぞれ子どもたちが社会や人生をより豊かにしていくために主体的に関係的に「生きる力」を学び養うことが求められています。
また、「不安」を抱えた保護者の皆様へ①でご紹介いたしました「こころとそだちのクリニック むすびめ」院長田中康雄先生は、「発達障害」ではなく、子どもたちは多彩な個性の持ち主である一人ひとりとして、その子がどういう力をもっているかなどその理解の研究を続けていらっしゃいます。保護者めいめいの子育て観、人生観、幸福感など価値観の問題が深くかかわり、その人の立ち位置によってもちがいが生じ、おくれの程度もそれぞれちがいます。つまり必要なのは診断名ではなく、その子への理解と治療の枠組みを組み立てることの「フォーミュレーション」が必要なのです。その枠組みは医師だけではなく、保護者を含め、学校の先生や社会の私たちも含めたものになります。
40数年テニスを通して子どもたちと接してきました。子どもたちと接してきて、解ったことがあります。それは、どんな子どもたちでも「自分なりの力をもっている」ということです。それは「自分なりに」「考え」「身体を動かす」ことでした。つまり、コラム「高い感覚性の世界⑥」で述べましたように、「このような純粋な感覚体験を享受する能力をもっていて、これはこの子のたいせつな力です。楽しめる力は、生きるに欠かせない力なのです。」と滝川先生は解説しております。私のプロフィールで紹介している「楽しい」「心地よい」「運動」とはこのようなことなのです。
子育てに一人で悩んでいらっしゃる方も多いのではと推察しております。「自分なりに」「考え」「身体を動かす」と他の子とちがうと思っていらっしゃるかもしれませんが、ちがって当たり前えなのです。ちがうことが個人差と思っていらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。それが個性なのです。「楽しい」「心地よい」「運動」は、子どもの心身の発達を促します。早期に幼児期から子どもさんの「楽しい」「心地よい」「運動」や「遊び」などをみつけてあげてください。みつかりましたら、皆で「フォーミュレーション」に取り組みましょう。保護者の皆さまや私ども大人からみた世界ではなく、子どもからみた世界をそして今をご理解いただけたらとてもありがたく思います。
(R4.7.1再掲)