発達の基本構造②
<生涯において発達する>
人間の発達水準は、0歳、1歳、2歳代は急なカーブを描いて伸び、それからだんだん発達の勾配はゆるやかになって、ある時期からはほぼ水平になります。そして、大多数の人たちはこの水平になった時点でその社会における平均的な発達水準に達しています。これが精神発達の定型的な歩みです。
このように精神発達の軌跡が、年齢に比例して伸び続ける直線ではなく、やがて水平に移るカーブとなるのは、精神機能のしくみが、ある「完成」に向かっていくプロセスだからだと推測されます。カーブがほぼ水平に移った段階とは、こころのはたらきの仕組み(構造)がほぼ完成に達した段階を意味しています。
これと違う見方で、精神発達に「終わり(完成)」はなく、人間は生涯にわたり発達し続ける存在だとする考え方(生涯発達論)もあります。精神発達を構造的にではなく、内容的にとらえればそのような見方になります。幾多の人生課題に出会い、様々な経験や努力を重ねて、人間のこころはさらに内容豊かに成長することができるという考え方です。当然ながら発達障害においても同様で、やはり生涯にわたって成長続けます。
参照文献 子どものための精神医学 滝川一廣著