身体医学の「診断」とは違う
<関係は認識に支えられる>
その一方、関係の発達は、認識の発達に支えられています。なぜなら、人間の関わらなければならない世界は、複雑な社会的関係の世界だからです。そこに関わる力をしっかり伸ばしていくには、人間の社会的な行動の意味や約束をとらえる力、すなわち認識の力がそれ相応に必要となるからです。人がかくかくの行動をするときには、背後にはしかじかの意味が込められいます。他人に対してこうふるまうのは許され、ああふるまうのは許されない、といった様々な意味や約束の理解によって、社会性は支えられています。
精神発達は、「認識の発達」と「関係の発達」との二つの軸からなりますが、この二つの軸は独立ではなく、互いに支えあっています。精神発達は両者のベクトルとして進みます。すなわち、認識の発達が関係の発達をうながし、関係の発達が認識の発達をうながすというようにして、精神発達全体を押し進めていくのです。
※参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著