「診断」のもつ意味
診断とは既成の「引き出し」に入れることですから、身体に合った既製服がいつも見つかるとは限らないのと同じく、「帯に短したすきに長し」でどれにもぴったり収まらないケースが必ず出てきます。
操作的診断を用いても、やはり診断者によって診断が一致しないことが現実には少なくない理由の一つです。これを防ぐには、できる限り大きな引き出しをつくって何でも入るようにするか、できる限り引き出しの数を増やしてどれかに入るようにするしかないのです。しかし、大きすぎる引き出しは大きすぎる服と同じで役に立ちません。多すぎると引き出しは分類整理という本来の目的から外れてしまいます。たいせつなのは何のための引き出しかを考えることです。
※参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著