酒と、血糖値と、栄養と。からだの選択は2択です。
日頃、低体温は気になりませんか?
体温は、体調のバロメーターです。
低体温を放置していては、血糖コントロールは改善しません。
日常生活の中で糖尿病を改善させるための、もう一つ重要な視点。それは体温管理です。
糖尿病の方は体温が低いといわれます。
最近は自分で低体温を自覚して相談される方もいらっしゃいますが、なぜ糖尿病だと体温が低くなるのでしょう?ここにも栄養素が関係していると考えています。
日頃何気なく思っている体温について考えてみましょう。
目次
1.体温って何?
2.体温はいつ測ればいい?~日常の体温変化
3.測る場所に最適なのはどこ?
4.なぜ低体温になるのでしょう?
5.うつ状態のとき体温が低くなっていた。
6.低体温のままでは糖尿病は改善しません。
7.自分で出来る改善方法があります。
1.体温って何?
人が生きて息をする、動く、考える、食べるなどの多くの生命活動は、からだの中で多種多様な化学反応の連鎖で行われていて、代謝と呼ばれます。生きている体は、化学工場そのものなのです。
からだの中で行われる化学反応の中には、エネルギーを作り出すものとエネルギーを利用するものとがあります。
からだを動かす、息を吐くなど、外に向かって行われた活動以外、からだの中で行われた化学反応はすべて熱に変換されます。つまり、食べたもの(※1)は熱 (※2)に換えられて、体温として測定されていま す。
食事をしたときは、たくさんのエネルギーが作られるので(食事誘導性熱産生)、からだが温まって汗をかくこともあります。放熱しているんですね。
2.体温はいつ測ればいい?~日常の体温変化
体温は、一日の中でも変化しています。下の図のように、明け方に一番低くなり、午後から夕方にかけて一番高くなります[1]。覚えやすく基準としやすい時間帯として、朝起きてすぐに測っておかれると良いでしょう。
朝は忙しくて測れなかった方は、「何時に何℃」とメモしておかれると良いでしょう。
体温の変動と共に、睡眠ホルモン(メラトニン)や血圧も変動しているのが見て取れます。
3.測る場所に最適なのはどこ?
寒いときに手足の皮膚表面が冷たくなるように、体温と言っても全身が同じ温度ではありません。暑いとき寒いときなど気温や、手のひらわきの下など測るからだの場所によって温度差があります。最近では非接触性の体温計が良く使われますが、寒いところでは低く測定されますし、炎天下から来てすぐは高い体温が測定されることで、お分かりいただけます。
それでも、からだの内部の体温は気温に関係なくほぼ37℃と一定に保たれています。からだの内部の温度は、実験的には鼓膜温や直腸温が測定されるようですが、我々が測る時には一般的にはわきの下の温度(腋下温)が測られています。電子体温計は、予測温を算出するので短時間で測れて便利ですが、実際にはわきの下を閉じて10分経たないと正確ではないと言われています。
4.なぜ低体温になるのでしょう?
正確には、体温は脳の視床下部の働きや発熱にかかわるホルモンバランスの影響もありますが、私たちが日常で低体温を改善できる方法として、エネルギーを作り出す栄養バランスがあります。
「1.体温って何?」でご紹介したように、食べたものはエネルギーに変わりますが、摂った栄養のバランスが悪いとエネルギー(体温)に変えることが出来ず、蓄えてしまう事になります(貯蔵エネルギー)。
かんたんな栄養バランスの考え方をご紹介しましょう。
エネルギー源と言われるものに三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)があります。
エネルギー源は、エネルギーの源ではありますが、これをエネルギーに換えるためにはビタミンやミネラルと呼ばれる微量栄養素が必要です。必要な微量栄養素が足りていないと、エネルギーに変換できず、体温が上がらないばかりか、血中脂質を上げたり貯蔵エネルギーとして脂肪細胞に蓄えられることになります。
この栄養バランスの関係を絵であらわしてみましょう。
食べたエネルギー源(三大栄養素)の全量を一番左の緑色のボックス(□)、三大栄養素に見合うビタミンやミネラルの全量を真ん中の黄色のボックス(□)、ここで作られたエネルギーの全量を右の赤色のボックス(□)で表現してみます。
エネルギー源である三大栄養素(左の緑色のボックス)は、それに見合ったビタミン・ミネラル(黄色のボックス)がないと、すべてをエネルギー(赤色のボックス)に変えることができません。作られたエネルギーは、体の中では「元気」や「体温」といった形に変えられます。健康状態の人を図で書くと(図①)のようになって、食べたエネルギー源はみなエネルギーに変換されています。
低体温の方の場合、口に入れた三大栄養素とビタミン・ミネラルのバランスが崩れています。これは太っている、痩せているといった体型のいかんにかかわりません。図で書くと(図②)のようになって、摂ったエネルギー源(三大栄養素:糖質・脂質・たんぱく質)に対して、微量栄養素であるビタミンやミネラルが見合っていません。栄養が偏った状態がありますから、バランスの崩れを改善しないと低体温も糖尿病も改善しません。下図のように、炎が小さくなった状態です。
体温が低く、肥満でなかなか痩せられなかったり、血糖値がなかなか下がらないのは、脂肪を燃焼し、血糖値を下げるために必要なビタミン・ミネラルが不足しているためです。
ところが、バランスの取れた食事をしようとしても、本当にバランスが取れているのかそうでないのかは、明確にわかるものではありません。体温は、便利なバロメーターとも言えますね。
5.うつ状態のとき体温が低くなっていた
更年期にさしかかった頃、ひどいうつ状態に悩まされたことがあります。朝、どうにもベッドから体を起こせない。からだが動かない。思考できない。苦しい。そんな日々を過ごしていたある日、ふと体温を測ってみました。ふだんは36度台半ばある体温が、36℃ないのです。35℃少し。
やっとのことでベッドから起き上がって湯船に湯を張り浸ってみると、からだが温まってくると動けるようになります。真夏だと言うのに、からだが冬眠していましたんですね。
子どもの場合も、平熱が36度未満の低体温傾向群の児童は,標準体温群の児童より通学意欲が低いことがわかっていて、やはり体温が低い状態では活動エネルギーも作られていないことが分かります。
また、この低体温のとき子供たちは疲労を訴えていることが調査研究の結果分かっています[2]。子どもであっても、体温等バイタルサインや生活状況は,疲労と何らかの関連があると考えられます。
6.低体温のままでは糖尿病は改善しません
先ほどの栄養バランスをブロックであらわした図で考えると、下の図②の上段のように、体温が正常な方で高血糖や肥満の方は、全体に食べ過ぎていて、バランスとして糖質や脂質のエネルギー源をとり過ぎていると言えるでしょうし、下段のように低体温の方は、摂ったエネルギー源に対して微量栄養素であるビタミンやミネラルが足りていないと考えられます。
このように、低体温をそのままにしていたのでは、糖尿病は改善しませんね。
7.自分で出来る対策があります
食事の栄養バランスが取れていないと、代謝に効果的な体温に上がらないことが分かりました。
自分でもできる対策があるので、ご紹介しましょう。
低体温の方でも、すぐに食事内容を変えられない場合は、まずは噛む回数を変えてみます。
1口食べ物を口に入れるたびに、30回噛んで食べるのです。噛むことで微量栄養素の吸収が改善されのです。店頭で試してみたところ、およそ2週間ほどで変化が見られました。
一口30回も噛めない方は、不足しているであろう栄養素の補給を考えてみましょう。サプリメントでも構いません。食べたものがエネルギーに変えられれば、体温は上がって元気が出てきますし、睡眠の質も良くなります。
(チェックする表はHP「糖尿病は栄養をとれば健康に戻る」)から無料ダウンロードできます)
ちなみに、糖尿病であっても、交感神経が過度に緊張しているケースは、朝から体温は高くなります。
ストレスを解除しにくく気合が入りすぎているためです。このような方には、不眠の方や短時間睡眠の方が少なくありません。
また、こうした特徴を持つ方の中には、急に体調を崩してアレルギー症状を起こしたり、花粉症やうつ症状を起こす場合があります。こんな時は、いわゆる電池切れの状態と考えて下さいますか?
脳に働いてストレスを解くときも、免疫をコントロールしてアレルギーを防ぐときも、精神を健やかに保つためのエネルギー物質を作るときも、同じミネラルが必要ですが、不足状態に陥ると、臓器に貯蔵している分を取り崩して使うため、さまざまな悪影響が体に出てくるのです。
漢方薬や天然サプリメントで補うことも出来ます
日頃の生活習慣や、食事の内容をすぐに変えられない時には、漢方薬やサプリメントで補う方法があります。
補うときに気を付けたいのは、特定のビタミンやミネラルだけを集中的にとらないこと。
補い過ぎて、逆に栄養バランスを崩すことになりかねませんから気をつけましょう。