糖尿病の方にも安心して飲める鼻炎薬があります。

笠原友子

笠原友子

テーマ:糖尿病・症状・薬

子育て世代の生活習慣病を考える まちかど糖尿病指導薬剤師の笠原友子です。
薬局店頭で、患者が自分でできる肥満・糖尿病対策にとりくんでいます。

この取り組みの中で、今回は、
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糖尿病の方が飲んでも、むだに血糖値を上げず、
のども渇かず、鼻もツンと来なくて、眠くなりにくい鼻炎薬と鼻炎対策
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をテーマとしてご紹介します。

拙著「糖尿病は栄養を取れば健康に戻る」の出版の際、お店に来られる患者さんや関係者176人にアンケートを取ったところ、高血糖の方の中に鼻炎持ちの方が多くおられました。

しかし市販の花粉症薬の中には、漢方薬も含めて血糖値や血圧を上げるものが少なくありません。
また、糖尿病患者さんの中には緑内障を併発している方も比較的多いのですが、これらの一般薬は、緑内障も悪化させる危険性があります。
自律神経の交感神経が緊張すると血糖値も血圧も上がりますが、市販の鼻炎薬には抗ヒスタミン薬のほかに交感神経作用薬が含まれている事が少なくないので注意が必要です。

そこで、市販薬や処方薬で気を付けるべき点と、これら西洋薬を使わずにその日のうちにでも鼻炎が止まる方法をご紹介しようと思います。

  目次
1.市販薬、病院薬で気を付けること
2.鼻炎・鼻づまりの漢方の選び方
3.血糖コントロールも同時に改善し効果が早い栄養をつかった方法

1.市販薬、病院薬で気を付けること

「アレルギー性鼻炎の症状は,くしゃみ,鼻水,鼻つまりなど主に鼻症状であるが,スギ花粉症においては鼻だけでなく,日のかゆみ,流涙などの眼症状に加え,重症の場合には皮膚のかゆみ,胃腸障害,全身倦怠感,頭痛,微熱,不眠など全身の症状を起こす。」(大阪大学荻野敏先生)と言われています。

鼻が詰まったり、鼻水が続いていると気分までうっとおしくなりがちですね。
でも、ちょっと待ってください。ほんとうに花粉症ですか?
薬局店頭で、薬を求める方々の中には、花粉症ではないのでは?と思う方もあるのです。

市販の鼻炎薬の中には、アレルギーを抑える【抗ヒスタミン薬】、もしくはそれに類似の成分が非常によく使われています。これら抗ヒスタミン薬自体にも抗コリン作用と言って、よく知られた眠気のほかにも便秘・悪心・排尿障害・顔面紅潮・立ちくらみ・めまい・かすみ目・吐き気・食欲不振・胃部不快感・動悸(心悸亢進)・不整脈などの副作用が知られています。
成分をご紹介すると、
  ●マレイン酸クロルフェニラミン
  ●マレイン酸カルビノキサミン」=シベロン
  ●ポララミンなど

高血糖・高血圧・緑内障の方には避けていただきたい成分

このほかに、鼻粘膜の充血やはれを抑え鼻づまりを楽にする成分として多くの鼻炎薬に配合されている【交感神経刺激薬】は、糖尿病や高血圧・緑内障の方には禁忌薬となっています。
成分をご紹介すると、
 ●塩酸プソイドエフェドリン、硫酸プソイドエフェドリン、塩酸フェニレフリン
 ●塩酸メチルエフェドリン、塩酸メトキシフェナミン
点鼻薬や目薬の中に入っている成分では
 ●塩酸ナファゾリン、硫酸テトラヒドロゾリン、塩酸テトリゾリン、塩酸フェニレフリン

交感神経刺激作用により、グリコーゲンの分解を促進して血糖値を上昇させるほか、インスリンの分泌を変化させ、血糖値のコントロールが困難になるおそれがあると言われています。また、末梢血管収縮作用や心機能亢進作用によって血圧を上昇させ、糖尿病の症状を悪化させるおそれもあります。
総合感冒薬や咳止めの中に配合されている場合もあるので、注意が必要です。

点鼻薬や目薬の中に入っている交感神経刺激薬は、ほとんどの点鼻薬に配合されています。
過剰使用は鼻づまりがかえって悪化することもあるので、点鼻薬の使用は鼻づまりがひどいときだけに限り、長期連用や安易な使用は避けたほうがいいでしょう。

漢方薬にも注意が必要

漢方薬は、この後に詳しくご紹介しますが、安心安全と言う迷信があって、意外と病院の先生からも処方され、私が調剤をする時に医師への疑義照会の対象とする生薬成分にマオウ(麻黄)があります。
マオウ(麻黄)は、先にご紹介した交感神経刺激薬と同じ作用を持つエフェドリンを主成分とするため、血糖値のコントロールを困難にしたり、症状を悪化させるおそれがあります。
葛根湯や小青竜湯など多くの漢方製剤に配合されていて、総合感冒薬や鼻炎薬に配合されていることもあります。生薬成分ですが、一般の医薬品と同様の注意が必要です。

花粉症の時期って、風邪の流行る時期と重なりますね。
風邪を引いた後の、副鼻腔炎によく似た症状が前後して現れていて、自己判断で麻黄やエフェドリンの入った鼻炎薬を長期服用している方もあります。
心臓病・高血圧・糖尿病・緑内障など持病のある方にとっては、副作用も出やすく体に負担になります。

よく効く成分ほど要注意

このほか最近の点鼻薬や湿疹・虫さされの薬の中にしばしば入っているのが【副腎皮質ステロイドホルモン薬】です。
内服ステロイドホルモンは血糖値を上げますが、この他外用ステロイドホルモン剤の長期間の使用により使用部位に感染症を引き起こしやすくなるおそれもあります。
喘息様の咳には第一選択薬として吸入ステロイドホルモン剤が使われます。最近、止まらない咳き込みで治療続けていた患者の中に、深在性真菌症とよばれる肺真菌症の治療を受ける患者をしばしば見ます。上気道や肺にカビが感染しているのです。
鼻も上気道の一部です。良く効くからと言って、むやみな薬の連用は避けたいものです。

また整形外科的に、副腎皮質ステロイドホルモン剤を頻用している方の中に股関節壊死を起こす方が多いと大学病院の整形外科の医師より聞いています。
すぐに鼻水が止まると便利ですが、その後の長期的な副作用も考えたいものです。

市販の薬の中にも安心安全よく効くものもあります

副作用を少しでも少なく、辛い症状をスッキリ改善できると喜んで戴いている漢方配合鼻炎薬があります。
抗ヒスタミン薬も入っていますが少量で、効果的にするために漢方生薬が配合されています。鼻周辺の血流と水分代謝を改善して、眠くならず、鼻がツンと来ず、のどが渇かなくて自然に鼻水が止まると好評です。
シーズン前の1月から服用すると、予防効果もあります。
価格は、6日分54錠入り1,980円(税込)、30日分270錠入り4,950円(税込)

ご用命の際は、電話かメール、Faxで「漢方生薬配合の鼻炎薬を所望」 とおっしゃって下さい。
今年の春は、スッキリ爽やかに過ごせますよ!

2.鼻炎・鼻づまりの漢方の選び方

鼻水・鼻づまりの状態によって選ぶ漢方薬は異なるのをご存じですか?

1(透明~白っぽい水っぱな)
 鼻づまりは寒いところにいると余計にひどく、ぞくぞく寒気や頭痛することもある。
 風邪のひき始めのこともある。
 クーラーで室温を下げたまま過ごしている方や、冬の期間に多い。
 鼻で息が出来ずに、口での呼吸が続き、疲れやすく、口が乾く。
 【おすすめ漢方】葛根湯、小青龍湯、独参湯を併用するとなおよい。

2(白~黄色の粘った鼻汁)
 鼻づまりがある。扁桃腺炎や咽頭炎・リンパ腺炎も起こしていることもある。
 鼻根側の頬(ほほ)や目の奥,額(ひたい)が重苦しい。
 【おすすめ漢方】葛根湯加辛夷川芎、排膿散関連処方、独蔘湯を併用するとなおよい。

3(慢性的に白~黄の粘った鼻汁)
 鼻づまりがある。耳痛・歯痛・のどの痛みもあり、口臭がある。
 常に頭が重く、頭痛することもある。食べることが大好き。
【おすすめ漢方】荊芥連翹湯、防風通聖散など

4(慢性的に透明~白の鼻汁)
 鼻づまりがある。イライラすることが多い。
 旅先やストレスがあると便秘しやすい。こめかみが痛むこともある。
 【おすすめ漢方】逍遥散、加味逍遙散

5(慢性的に透明~白の鼻汁)
 鼻づまりがある。朝起きて大量の鼻汁が出る。
 雨が降ると悪化する上、頭も重くなる。この時足が冷えたり下痢することもある。
 鼻が詰まるだけでなく、朝起きる時に頭痛やめまいすることもある。
 【おすすめ漢方】半夏白朮天麻湯、六君子湯、独蔘湯を併用するとなおよい。

6(慢性的に透明~白の鼻汁)
 慢性的に鼻づまりがある。数十年来続いている年配者に多い。
 冷えるとさらに鼻水・鼻づまりがひどくなり、においが分からないことがある。
 気が短い性格の方があり、腰から下が冷えやすく、むくみが出やすい。
 夜間にトイレに起きることがよくある。
 【おすすめ漢方】真武湯、独蔘湯を併用するとなおよい。

漢方薬を選ぶときには、悪化や改善のタイミングがわかると選びやすいです
 たとえば
・寒いところにいると・・ 
・暖かい部屋に入ってくると・・・
・春秋の花粉症シーズンに悪化
・クーラーを入れたら・・、気温が下がったら・・・
・お風呂に入って温まると鼻水が止まる。
などなど

鼻づまりや、鼻汁が出ていると気分がすぐれないだけでなく、口呼吸になると細菌やウィルスがダイレクトに体に入って来て、次の感染につながりやすいので一日も早く鼻づまりを解消して戴きたいものです。

適切な漢方薬を服用すると、負担なく自然に穏やかに体調改善します。
漢方は長く飲まないと効かないなんて思わないで、薬剤師に相談してみて下さい。

3.血糖コントロールも同時に改善し効果が早い栄養をつかう方法

栄養補給で改善する方法は、一番安全で快適のようで、毎年花粉脳の時期だけ来店される方もあるほどです。
栄養剤を飲むだけなので、簡単です。
栄養剤を補給するだけで、方法自体は対症療法に似るのに、実際は原因療法に迫っています。

この方法に気づいたのは、勤務していたスタッフの妊娠中の花粉症に対応したのが、きっかけでした。
補給を初めて1時間もしないうちに鼻炎が治まったのに驚き、以来20年以上当店のお客さま方に喜んでいただいています。
鼻炎だけでなく、妊娠糖尿病も改善して一挙両得だったのですよ。
妊娠闘病に関しては、また別の記事でご紹介しますね。

アレルギー疾患の方に不足しがちな栄養を補給することでアレルギー症状が治まるのです。
デメリットは、補給する栄養剤の種類によっては、一部の抗がん剤や抗リウマチ薬の効果を悪くするため同日摂取が出来ない事と、選ぶ栄養補給剤によってはワーファリンとの併用が出来ない事だけです。

鼻炎症状が治まるのは、不足している栄養素を補うからです。
糖尿病の方の鼻炎にも使えるのでは?と思ったのは、拙著出版前に行ったアンケート調査の結果からでした。
妙に血糖値の高い方に、鼻炎やアレルギー性の皮膚疾患が多かったのです。
この結果は、おすすめのJIJICO記事「今年も花粉の季節がやってくる。鼻炎対策には適切に栄養を取るにも書いています。

リウマチ、妊娠・授乳中、大酒飲み、糖尿病など、まったく異なる病気や状態であるにもかかわらず、共通して不足する栄養素があり、この栄養素が不足するとアレルギー症状は起きやすくなります。それで、補給すると治まる。と言う訳です。

血糖値が高いとアレルギーが起きやすくなるわけ

血糖は、文字どおり血液中のブドウ糖です。ブドウ糖は、血液の中で同じ形でずっといるわけではなく、約5%はアルデヒド型で存在します。

アルデヒドは、比較的身近なもので言うとホルマリンと言う物質の名前を聞いたことはありませんか?ホルマリンは、ホルムアルデヒドの水溶液です。過去に壁紙剤や合板の糊の中に防腐剤として微量入れられていましたが、シックハウス症候群の原因となるため今では規制されています。

このアルデヒド型を持った物質は、粘膜を刺激してしまうのです。
血糖値が高いと、その分多くのアルデヒド型のブドウ糖が血中に存在することになり、血管に近い粘膜や皮膚は刺激を受けやすくなり、鼻粘膜が刺激を受ければ鼻炎になりやすくなりますし、肺だと気管支炎、皮膚ですと顔・目のまわり・首・ひじの内側・手首・腰回り・ひざの後ろと言った部分に炎症が起きやすくなります。
漢方の世界でも同様に肺疾患や皮膚疾患は、食べ過ぎ、とくに甘いものの食べ過ぎの後に悪化する病気と見ます。

春先の花粉症は、スギ花粉のせいだけにされていますが、花粉の飛び始める直前にバレンタインデーがあり甘いものをとり過ぎているのも一因しているように思えてなりません。

そこで、花粉症や鼻炎も糖尿病対策と同じ対応をすると、糖尿病よりも早く分かりやすく改善します。
拙著「糖尿病は栄養をとると健康に戻る」(経済界)にお示ししたのと同じ方法と考え方での対応で、摂った糖質に見合うだけのビタミンやミネラル豊富な天然サプリメントで栄養補給していただくだけです。

つまり摂った糖質は、見合うだけのビタミンやミネラルを摂らないと、エネルギー源としての糖質に見合ったエネルギーを作り出せないので、見合いそうなだけの量を天然サプリで補っていただくのです。

栄養のバランスをブロックであらわしてみます

花粉症症状の無い方の栄養バランス
花粉症上の無い方の栄養バランスの状態をイラストにすると次のようになります。

小学生の頃に習った三大栄養素や五大栄養素の話を覚えていませんか?
三大栄養素と言うのは、糖質、脂質、たんぱく質と言ったエネルギー源です。60歳代以上の方は三大栄養素までしか小学生の頃には習っていないでしょう。栄養バランスの考えはほぼなく、とにかく食べるように教育されています。高齢者がつい糖質ばかりを食べてしまう一因でもあるでしょう。これが還暦以下の年齢層は、小学生の頃に三大栄養素にビタミンとミネラルが加わった五大栄養素の教育を受けています。

三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)に見合うだけのビタミンやミネラルを摂ると、見合うだけのエネルギーが作られます。このエネルギーが体温でもあり元気でもあります。
恐らくこのバランスの取れた状態では、鼻炎や糖尿病は起きにくいと思われます。

花粉症、アレルギー性鼻炎の方の栄養バランス
次に花粉症やアレルギー性鼻炎のある方の栄養バランスをイラストにすると次のようになります。
とった3大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)に対して、見合った量のビタミンやミネラルが取れていない状態です。三大栄養素をとり過ぎているのか、もしくはビタミンやミネラルを①摂る量が少なすぎるのか?②必要量が多くなっているのか?③摂っても排泄されてしまっているのか?

いずれにせよ見合っていないので、見合った分のエネルギーしか作られず、足りていなければ体温も低めに推移します。

そして、見合わずにダブついた血糖は高値となりやすいですし、ダブついた血糖の1部は粘膜を刺激し、鼻炎などの症状を引き起こします。

甘いもののとり過ぎに限らず、例えば飲酒によって解毒のためにビタミンやミネラルの必要量が増えているときにも同じ状態が起きます。深酒をした翌日に鼻炎になっていることはありませんか?

栄養のアンバランスを改善すると、鼻炎も高血糖も改善します
このアンバランス部分を補充すると、バランスが取れて症状が改善して来るのではないかと考えています。
補うだけで、不足が補充されれば分かりやすく改善しています。


免疫の暴走を防ぐために、胸腺にも栄養素が必要
アレルギー症状を発症には、血液の中の白血球細胞がかかわっています。
アレルギーに関係する白血球細胞は、からだの中で作られるとまず、その教育機関である胸腺に入ります。ここで自分自身とそれ以外の区別が出来るよう教育を受けるのですが、胸腺に必要な栄養亜鉛が不足していると教育状態が悪くなり、暴走して過剰反応を起こし、自分自身の細胞までを攻撃してしまうようになることが知られています。


それで、胸腺での免疫細胞の教育程度を改善し、過剰反応をしないようにするために栄養素補給をするわけです。

ふだんの食生活の中で野菜不足の生活が続いている方は、野菜不足を補給剤によって解消していただくだけで、鼻炎症状は改善して行きます。

ただし、一部の抗がん剤や抗リウマチ薬の中には、サプリメントの種類によっては効果が減弱してしまうものもありますから、サプリメント補給をされる場合には、薬剤師に相談してからの服用をおすすめします。

このような栄養素補給による鼻炎対策には、花粉症を鼻炎薬で治める時の不快感も無く、体調が改善していくとおっしゃっていただいて好評です。
続く鼻炎症状でお悩みの時にお試しになってみてはいかがでしょう?
花粉症対策を参考にご覧ください。

今回は、鼻炎薬(抗アレルギー薬)以外の花粉症対策をご紹介しました。
流れ落ちる鼻水にのどが渇かず、鼻にもツンと来ず、体がだるくなることもない。
そして、嬉しいことに血糖値が高くても、血圧が高くても、緑内障の方でも安心安全な方法で
おうちで自分で出来る方法です。

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笠原友子
専門家

笠原友子(薬剤師)

笠原健招堂薬局(有限会社笠原)

漢方の選薬用質問と血液検査結果から微量栄養素の不足や日常の生活習慣をチェックし、微量栄養素補給と漢方薬の選薬だけでなく生活指導で糖尿病をはじめとする生活習慣病に対応し、特定保健指導までできるのが強み。

笠原友子プロは北陸放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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