老後に介護しやすい家をつくるには動線確保が重要
部屋数も多く、広々とした住まい。多くの人が憧れを抱くとおもいますが、将来を考えた場合はどうでしょう?
子どもが巣立ち、自分たちが高齢になると思うように家の管理ができなくなる可能性もあります。
夫婦二人になった場合、どのような住まいが適しているのか見ていきましょう。
子育てを終え夫婦二人になると生活スペースは集約される
「子育て世代」という言葉があるのをご存じでしょうか?
この子育て世代は、年齢的にはいくつぐらいの人が当てはまるのでしょう?
「国民生活白書」では、「統計上の制約等から、子育て世代を年齢層として捉えなければならない場合、便宜的に20~49歳とする」としています。
そうすると、これも便宜上ですが、50代以上は「子育て」を終えた世代と言えるかもしれません。
50代、60代を迎え、お子さんが独立して家を離れると使わない部屋が出てきます。夫婦ともに元気なうちは、子ども部屋をそれぞれの寝室にしたり趣味の部屋にしたり活用することができます。
しかし、年齢を重ねると互いの気配を感じられるよう、また階段の上り下りを避けて1階のリビングのそばの和室を夫婦の寝室にするなど、生活スペースが集約されていきます。
このように、家の中の生活範囲が狭くなるなど、誰も立ち入らない部屋が増えると防犯面でも不安が出てきます。
夫婦二人暮らしに必要な広さは?
上記のような理由から、お子さんが独立した後「住み替え」を考える方が多くいらっしゃいます。
では、老後の「夫婦二人暮らし」に適切な住まいの広さはどのくらいなのでしょう。
もちろん、その人その人のライフスタイルがありますから一概に○坪、○平方メートルとは言えませんが、「住み替え」の候補としてワンフロアで生活ができるマンションをお考えになる方もあり、広さとしては2LDK、3LDKほどのコンパクトな間取りで生活動線を短くするケースが増えています。
広い家が重荷になることも考える
こうして考えてみると、家を設計するにあたっては、将来、広い家が重荷になることも考えておく必要がありそうです。
ここ数年は、お子さんたちが独立された後、2階建ての家を平屋にする「減築」なども注目されています。
減築して平屋にすることで掃除機を持って階段の上り下りをしなくてすむ、掃除する面積が減るといったことがメリットとして考えられます。
床面積や部屋数が減ることで冷暖房などの光熱費をおさえたり、固定資産税を減額することもできます。
先々のことも考え、必要な広さや部屋数を十分に検討すること、また、将来の変化に対応できる可変性を備えておくことも大切だとおもいます。