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梅原郁夫

日本の伝統の技と現代の科学を融合させる建築士

梅原郁夫(うめはらいくお) / 一級建築士

梅原材木店

コラム

老後に介護しやすい家をつくるには動線確保が重要

2017年5月25日

テーマ:老後の住まいと間取り

コラムカテゴリ:住宅・建物

介護をする、介護を受ける。住まいにそのための工夫があると双方の負担が少なくなります。

居室への工夫

介護する居室への工夫としては、まず室内への出入りを楽にすることを考えましょう。

室内への出入りは、開きドアより引き戸のほうがずっと楽になります。開きドアは、手前に引いて開ける際には介助する人・介助される人が後退する必要がありますし、ドアを押して開ける際にも、たとえば風にあおられて閉まったりするのを警戒する必要があるなど、介護には不向きな構造なのです。

引き戸にするには、引き戸をスライドさせるスペース(戸袋)が必要になりますが、引き戸のメリットは大きいと言えます。

トイレの工夫

トイレも開きドアより引き戸にするほうがいいでしょう。
また、車椅子での出入りを想定した場合、間口は広いほうがいいですし、便器に座る、便器から立ち上がるといった際の介助のしやすさを考えれば、ある程度の広さも必要になります。

浴室の工夫

浴室の出入りも引き戸のほうが楽ですし、また、間口も広いほうが安全です。

とくに注意したいのは浴室内の床材です。ノンスリップ加工の床材など、浴室の床を滑りにくいものにしましょう。また、浴室の壁、浴槽内に手すりを設けておくと、浴槽への出入りの際、介助する側・介助される側双方が楽になります。

玄関の工夫

家のなかで最も大きな段差は玄関にあります。スロープを付け段差をなくしたいですし、車椅子を使わない場合にも手すりは必ず設けたいものです。

また、玄関内で靴を履く、靴を脱ぐという動作は立ったままでは危険です。腰掛ける場所を設けましょう。介助者が動きやすいスペースも必要になります。

動線の確保

さて、介護しやすい家にするためのポイントを家の中の「場所」を中心にお話してきましたが、実は、それぞれの場所をつなぐ「動線」、そして、それぞれの場所の中での「動線」、この二つを考えることも非常に大切です。

介護を受ける人の寝室とトイレ、お風呂場などはできるだけ近い場所にする、家族が集まるリビングから部屋の様子、気配がわかるようにリビングに隣接させる、車椅子を利用している人がいる場合はその人の部屋から外へそのまま出られるように、はきだし窓を設け、その外にバリアフリーでつながるスロープを設けて出入りがスムーズにできるようにする、など動線についても十分に配慮し、快適で便利な暮らしを実現しましょう。

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