<歯科医が監修>初めての歯みがきのコツ=乳幼児のブラッシングはどうする?(小児歯科・虫歯予防)
<コラムの要旨>
出産後の女性から「全体的に歯がしみるので虫歯を治療してほしい…」とか「右側も左側も歯がしみる」などの相談を受けることがしばしばあります。冷水痛などのしみ度合いが強くなったり少し治まったり、日によって変化する場合や、しみる箇所が変わる場合、何か所も同時多発的にしみる場合は、虫歯ではなくいわゆる知覚過敏の場合があります。虫歯とは対応方法が変って参りますので、知覚過敏に詳しい歯科医師にご相談いただければと思います。
1.そもそも歯ぎしり・くいしばりって?
実はくいしばり・歯ぎしり(ブラキシズム)と知覚過敏(象牙質知覚過敏)は密接な関係があります。
くいしばりとは、無意識に強く歯を噛みしめる習慣です。特に睡眠不足やよく眠れていない場合に多く出現する傾向があって、日中のストレスや緊張が原因になることが多いです。また、生まれたばかりの赤ちゃんは夜中に泣くことも多いために、授乳中の女性にはくいしばり・歯ぎしりが高頻度で出現します
。
また、歯ぎしり・くいしばりは起きている時には出せないような強い力でくいしばるために、歯への過剰な圧力や、歯ぐきや歯槽骨(歯を支える骨)への過度な負担、歯質の摩耗やひび割れを引き起こします。
2.くいしばり・歯ぎしりと知覚過敏の関係とは?
知覚過敏とは、冷たい飲食物や歯ブラシなどに触れると歯が「キーン」としみる状態です。正しくは「象牙質知覚過敏症」と言います。これは、歯の表面のエナメル質の下層にある象牙質に温度刺激が伝わってしまうことで起こります。
くいしばりが知覚過敏の原因になる理由は、主に以下の3点です:
① 歯のエナメル質の損傷
くいしばりにより、歯の表面の結晶構造のエナメル質が摩耗・ひび割れを起こすと、内側の象牙質が露出し、知覚過敏の原因になります。
② 歯頸部のマイクロクラック
歯と歯ぐきの境目=歯の根元の部分(歯頸部)に、微細なひびが入ることで象牙質が露出し、しみやすくなります。
③ 歯ぐきの退縮
強いくいしばりによって歯肉に負荷がかかって歯の周りの歯ぐきが下がる(退縮する)と、歯の根元の歯根が露出し知覚過敏の原因になります。
3.知覚過敏を改善するには…
①ナイトガード(マウスピース):睡眠中の歯への負担を軽減
歯ぎしり・くいしばりを緩和するため、強く噛みしめられないように柔らかくて厚みのあるマウスピースを作製し、就寝時に装着していただきます。何か所もしみていた状況が数日で改善するケースもあります。
②姿勢の改善:低反発枕の使用でくいしばりを抑制
高さのある枕を使用し、あごを引いた状態で寝ているとくいしばりを助長することがあります。低反発ウレタン枕を使用し、呼吸しやすい首が伸びている状態にすることで、睡眠中の筋肉の活動が減少し、歯ぎしり・くいしばりに効果があったとする報告があります。
③しみている歯の表面に対して行う処置
市販の知覚過敏用歯磨き粉(シュミテクトなど)をしばらく使用していただくことや、歯科医院で専用薬剤の塗布やコーティング処置を行い、温度刺激が伝わりにくくします。
4.くいしばりのよる知覚過敏なのに虫歯治療をしてしまうと…
くいしばり・歯ぎしりが主たる原因の知覚過敏の患者さんに、小さな虫歯を見つけて虫歯治療をしてしまった場合、歯を削って新たな刺激が加わることでしみがひどくなってしまうケースがあります。残念なことに歯科医師の中には、虫歯かもしれない歯ならばどんどん削ってしまうセンセもおられます。
そもそも虫歯で冷たいものがしみる場合、誰が見ても明らかな穴が空いているケースが多く、虫歯かもしれないちょっとだけ黒くなっている変色程度では自覚症状はないのが普通です。内部で虫歯になっている場合でもレントゲン写真で一目瞭然、それなりの大きさの虫歯があって初めてしみてきます。
また、「時々歯がしみる…」、「しみている場所が変わる…」、「しみていたのがいつの間にか改善した…」などの症状の場合は、くいしばり・歯ぎしりによる知覚過敏の可能性があります。なぜなら虫歯ならば自然に治らないので。
このような特徴的な症状でお悩みの方はご相談いただければと思います。
つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
つくばオーラルケアクリニック(歯科・口腔外科) JR常磐線荒川沖駅より徒歩5分
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