<歯科医が監修>初めての歯みがきのコツ=乳幼児のブラッシングはどうする?(小児歯科・虫歯予防)
1.いつの間にかあなたも歯周病…油断は禁物です!
「歯周病(歯槽膿漏)」という言葉を聞いて、「自分には関係ないモノ…」と感じていませんか?特に若い方はそうかもしれませんね。しかし、歯周病は症状もなく進行するサイレントキラーと称され、30代から始まり、40代に入るとほとんどの人が罹患する非常に高い発症率を持つ疾患です。
初期の歯周病は症状がほとんど現れず、多くの人が自覚せずに放置してしまいます。40代後半から50代にかけて歯周病が進行すると、歯肉の腫れや歯磨き時の出血が起こり、歯科医院を受診せざるを得なくなります。しかし、その時には既に歯周病は中等度の段階まで進行しており、手遅れになることがあります。
歯周病はむし歯同様、細菌感染によって引き起こされます。定期的な歯磨きと歯科医院でのメンテナンスによって、口の中のバイ菌の数を抑え、進行を防ぐことができます。しかし、一度歯周病が進行すると、歯周炎によって吸収された歯槽骨は回復しづらく、「手遅れ」の状態になります。
2.歯周病治療のゴールは現状維持
一般の方々が考える治療のゴール=「歯周病が治る」という状態は実は実現不可能です。ある程度進行した歯周病は歯根を支える歯槽骨が溶けてしまい、元通りにはならないんです。目指すべき正しいゴールは、「小康状態」や、「歯周病の進行抑制」なんです。治療で最も重要なのは「プラークコントロール」と呼ばれる日々のブラッシングであり、歯垢を取り除いて口の中の細菌の数を抑えることが必要です。
それに加えて歯科医院ではスケーリング(歯石取り)だけでなく、歯周ポケットの洗浄、薬剤の局所投与などを組み合わせて、歯周病菌の排除と増殖の抑制を行います。
3.かかりつけ歯科で適切なメンテナンスが受けられていますか?
一部の歯科医院では、「歯周病の治療=歯石取り」の一辺倒のアプローチが見受けられます。しかし、歯周病は歯根に沿った歯周ポケットの中に病巣が広がっていることがあり、通常の歯石取りだけでは不十分な場合もあるのです。
歯周病菌は酸素を嫌う嫌気性菌であるため、普段は歯周ポケットと呼ばれる歯肉の奥深い部分に潜んでいます。中等度以上の進行レベルの歯周病に対しては、見えている歯石を除去するだけでは不十分であり、局所麻酔下で行う歯根表面の歯石取り=ルートプレーニングや薬液洗浄、抗生剤軟膏の注入など、必要性に応じて専門的なアプローチが必要です。
定期的な口腔ケアを受けながらも歯周病が徐々に進んでしまう患者さんの場合、メンテナンスにはちゃんと通っているものの、ご自宅でのセルフケアが十分なされていないケースや、かかりつけ歯科医院でブラッシング指導が十分に行われず、漫然と短時間で終わる歯石取りのみを繰り返しているケースが見受けられます。
まずは担当の歯科医師や歯科衛生士としっかりコミュニケーションをとることが大切ですが、ご自分の歯周病の進行具合や歯みがきの仕方について親身に指導してくれるかかりつけ歯科を見つけてくださいね。