Mybestpro Members

久保郁プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

【第9回】秤の数字、まだ紙に書く? 水産会社が考える「計量→ラベル」の自動化

久保郁

久保郁

テーマ:うおラボの水産卸

魚を加工して、秤に乗せる。

「1.86kg」

その数字を紙に書く。

あとでパソコンに入力する。

必要なら計算して、ラベルを作って印刷する。

一つひとつは大した作業ではありません。

ただ、これを一日に何十回、何百回とやると話が変わります。

しかも忙しいときほど、数字を書き間違えたり、入力する場所を間違えたりする。

だったら、秤に表示されている数字を、そのままデータにできないか。

今、そんな仕組みを作っています。

高い秤に買い替えなくてもいいんじゃないか

最初に考えるのは、パソコンと接続できるデジタル秤です。

重量データを直接取り込めるので、仕組みとしては非常にきれいです。

ただ、当然ながら対応した秤が必要になります。

工場に秤が何台もあれば、それを全部入れ替えるのか。

まだ使える秤まで?

ここで一度、「本当にそれが一番いいのか」と考えました。

秤には、すでに重量が表示されています。

人間はその数字を見て作業している。

それなら、カメラに見てもらえばいい。

というのが、今考えている方法です。

秤の表示をカメラで読み取る

今使っている秤の表示部分にカメラを向けておきます。

魚を乗せる。

重量が安定する。

カメラが数字を読み取る。

読み取った重量をパソコンへ送る。

必要な計算をする。

そしてラベルを自動で発行する。

目指しているのは、ここまでです。

例えばマダイを秤に乗せて2.00kgだったとします。

システム側で必要な計算をして、店舗名、魚種、受注数量、実際の重量などを入れたラベルをその場で発行する。

作業する人は基本的に、

「魚を乗せる。」

これだけ。

理想を言えば、ラベルの印刷ボタンすら押したくありません。

タブレットは「入力機」というよりリモコン

パソコン、カメラ、ラベルプリンターは作業場側に置きます。

一方で、作業する人の手元にはタブレット。

ただ、タブレットで毎回重量を入力するわけではありません。

魚種を変更したり、処理方法を変えたり、作業を一時停止したり。

いわばシステムのリモコンです。

重量そのものはカメラから取る。

ここは人に入力させない方がいいと思っています。

せっかく自動化するのに、画面を開いて「1.86」と入力していたら、少しもったいない。

ラベルまで自動にする理由

重量をデータ化するだけでも便利です。

ただ、そこで止めると結局、

重量を確認する。
ラベル作成画面を開く。
重量を入力する。
店舗を選ぶ。
印刷する。

という作業が残ります。

私が減らしたいのは、この「ちょっとした作業」の積み重ねです。

魚を秤に乗せた時点で、受注データと重量データを紐づける。

そこからラベルまで一気に出す。

そうすれば、計量とラベル発行がほぼ一つの作業になります。

受注システムとつながると、さらに面白くなる

前回のコラムで、現在開発している受発注システムについて書きました。

実は今回の計量システムも、最終的にはそこにつながります。

注文を受ける。

商品別、店舗別に自動集計する。

加工場でその集計を見ながら作業する。

魚を計量する。

重量をカメラで読み取る。

ラベルを発行する。

その重量が販売管理システムへ送られる。

納品書へ反映される。

ここまでつながれば、同じ数字を紙に書いて、またパソコンに入力する必要がなくなります。

一度取ったデータは、最後まで使えばいい。

考えてみれば当たり前なのですが、現場では同じ数字を何度も書いたり入力したりしていることが結構あります。

コスパを考えるなら「全部新品」が正解とは限らない

こういう仕組みを考えていると、高性能な機械を使えば解決できることはたくさんあります。

ただ、それでは設備投資が大きくなります。

水産加工の現場には、すでに秤があります。

パソコンもある。

だったら必要なのは、カメラとラベルプリンター、それらを動かす仕組みくらいで済むかもしれない。

使えるものは使う。

その上で、人がやらなくてもいい作業だけを機械に渡していく。

私はこのくらいの自動化の方が、現場には合っている気がしています。

タイパは「1回何秒」より「何回やるか」

重量を書くのに5秒。

パソコンへ入力するのに10秒。

ラベルを作るのに10秒。

一回だけなら何とも思いません。

問題は回数です。

一日100回ならどうか。

年間ならどうか。

さらに入力ミスを見つけて確認する時間まで入れると、結構な時間になります。

こういう数秒、数十秒の仕事は、あまり改善対象になりません。

一つひとつが小さすぎるからです。

でも私は、むしろこういうところを自動化した方が効くと思っています。

もちろん、カメラで読めば終わりではない

実際のところ、ここが一番難しい部分です。

数字をカメラで読むだけならできます。

問題は、それを現場で毎日使えるレベルにすることです。

表示が変わっている途中の数字を拾ったらどうするのか。

魚を降ろした瞬間の数字をどう扱うのか。

読み間違えたらどうするのか。

作業を途中で止めたらどうするのか。

違うサイズの魚を別の店舗へ回したいときはどうするのか。

現場では、きれいに「1、2、3」と作業が進むとは限りません。

理屈では簡単でも、ここを考えずに自動化すると、たぶん人がやった方が早くなります。

それでは意味がありません。

水産会社がシステムを作る意味

最近、自分でも魚屋なのか何屋なのか、少し分からなくなることがあります。

ただ、システムを作ること自体が目的ではありません。

魚屋の仕事をしていて、

「これ、毎回書く必要ある?」

「さっき入力した数字を、なんでまた入力してるんやろ?」

「この作業、人がやらなくてもよくない?」

そんなところから始まっています。

高価な設備を入れて一気に工場を自動化する。

それも一つの方法です。

一方で、今ある設備にカメラを一台付けるだけで、人の作業を一つ減らせるかもしれない。

そういう自動化もあります。

魚を乗せたら、重量が入り、ラベルが出て、その数字が最後は納品書までつながる。

今はそこを目指して作っています。

完成したら便利そうです。

というより、自分が一番使いたいので作っています。

うおラボでは、飲食店・施設給食・仕出し・弁当向けに、
魚の下処理、三枚おろし、皮引き、柵どり、スライス、加熱加工、急速冷凍まで対応しています。
さらに仕事の効率化のためにアプリ作成も内製化したりしてます。
受注や集計でお困りの卸売会社さんには導入しやすいような仕組み作りをかんがえています。

人手不足で魚の仕込みが負担になっている店舗様、
施設給食で下処理や加熱作業を減らしたい事業者様、
アナログを使いつつデジタルを混ぜていき効率化をすすめたい卸売会社様は
お気軽にご相談ください。

うおラボ公式サイト
https://uolabo.com/

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

久保郁
専門家

久保郁(生鮮卸売業)

株式会社うおラボ

産地直送の仕入れ力と丁寧な加工技術で、調理工程の省力化に役立つ半製品を提供。調理現場における人と物の動きの効率化を追求し、売上増でも現場を疲弊させない持続可能なオペレーションを提案します。

久保郁プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

人手不足時代を支える水産加工オペレーション設計のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ神戸
  3. 兵庫のビジネス
  4. 兵庫のビジネスその他
  5. 久保郁
  6. コラム一覧
  7. 【第9回】秤の数字、まだ紙に書く? 水産会社が考える「計量→ラベル」の自動化

久保郁プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼