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沁みついて

坂部智子

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テーマ:日々ねた

あわただしく日々が過ぎている。
世帯主の父が亡くなって、配偶者である母は認知症が進んでいるため、
必要な手続きにいろいろと手がかかる。
死亡届は葬儀社が代行で提出してくれているので、その後の必要な手続きというのは、
一つずつ、担当の窓口で尋ねるしかない・・・
何か所目かの窓口で初めて「死亡による届出」の一覧表をもらった。
しかしまあ、取り寄せる書類が多いこと。
戸籍謄本はいまだに、その市町村役場から郵送で取り寄せるしかないとか、
いくらでも画面で確認できそうなことも、いちいちコピーを添付するとか、
大時代的なところが何も変わっていなくて、けっこうおどろいた。

窓口ごとに何度も、父が亡くなった云々・・・を伝えるし、死亡原因を記入したり、淡々と事務作業としてこなしていると、時間の流れも手伝ってか、少しずつ、いろんなことが平気になっていくのだ・・・と思えてきた。

なのに、昨日、
仕事で遅くなって、ふとバス停を見ると、バスが向かってきている。
瞬間的に、猛ダッシュして、なんとかバスに滑り込み、
やれやれ、「今バス乗った」とメールしようとして、ふと手が止まる。
そうか、もう誰もあの家で、私の帰りを待ってはいないんや・・・。

こういう時、
こういうコトが、
頭やココロよりも、
行動として沁みついてしまっているコトが、
無意識に出てきて、
困る。
涙よりも、もっと深いところで、哀しみが、淋しさが、
あふれてきて、つかまってしまって、
困る。

表だってはもうメソメソはしていないけど、
ココロの奥の方で、何かが固いかたまりになって沈んでいくように感じる。
まだ降り積もっている。
そう感じながら、淡々と日常をこなしている。

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