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手すりがあるために

坂部智子

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テーマ:仕事のはなし

先日訪問したAさん(60代男性、要介護3)
後遺症により右片麻痺があり、室内移動の手掛かり、立ち上がりの補助として
手すりをレンタルされている。
退院して在宅での生活は2年半ほど。
寝室に、たちあっぷ手すり(CKA-02)を3か所。

足の浮腫みを少しでも解消するために、足が上がるリクライニング式ソファを購入し
そこからの立ち上がり補助として、ソファの左横に
ユニバーサルグリップを導入したのが、半年前。
そのソファからの立ち上がりが、なかなかうまく出来ず、
いつも「手を引っ張ってくれ・・・」とご主人が奥様におっしゃるそう。

まず、ソファ自体の奥行きが深いため、ゆったりもたれて座ってしまうと、
体を起こすのが大変。
その時には、左ひじかけのすぐ先に設置したグリップをもって、なんとか
体を引き起こしているそう。
しかし、立ち上がろうとして、手すりを支えても、一人では立ち上がれない・・・という。

実際に座ってみた。
立ち上るには、手すりの位置が体に近すぎて、体重が真下にかかることになり、
かえって、立てない。
根が生えたようになってしまう・・・
私がやっても立てません・・・と伝えると、
今まで黙ったままだったご主人が大きく頷きはった。

ソファから体を起こすためには、その位置でないと届かない。
しかし、そこでは支えても立てない。
何の動作の為のモノなのか・・・ということが、明確でなく、
そこに手すりがあるから、使ったら立てるはず・・・と周りも本人も思っていて、
上手く出来ないことに、いらだったり、悲しんだりしていた・・・そう。
体を起こすのと、立つのを分けて、それぞれに適した位置に必要な手すりを設置しないと。

手すりを支えて、かえって動作がしづらいなんてこと 思いもしなかった・・・と
奥様がおっしゃる。
実際にその動作をやってみていただいたので、すごく納得されていた。

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