子育てを応援する家【1.5世帯住宅】
前回のコラムでは、
子育て世代にこそ戸建て住宅をお勧めしたい
ということを書きました。
しかし、現実には子育て世代は出費も多く、貯蓄も潤沢でないという家庭が多いかと思います。
今回は、子育て世代に向けたローコスト住宅の作り方を書いていきたいと思います。
建築士が提案するローコスト住宅の基本的な考え方は外郭をしっかり、中はシンプルです。
以下、基本的な考え方を書いていきます。
家の形をシンプルに
ハウスメーカーのモデルハウス、カタログをみると、壁の出入りの多い複雑な形状の屋根の住宅が殆どです。
複雑な形状の家は、壁や屋根の面積が増えて材料代が高くなるだけでなく、施工手間も増えて確実にコストアップに繋がります。
変わった屋根形状は雨漏り対策にも不利ですし、複雑な平面形は構造計画にも悪影響を与えます。
ローコストの住宅を目指すなら、なるべく外壁の出入りを無くし、シンプルな平面形を目指すべきです。
シンプルな平面形は構造的な安定がとりやすく、雨漏りなどの将来的なトラブル防止にも有効です。
子供部屋は必要なときに
コストを下げるための間取りは、極力間仕切り壁を無くす、ドアを減らすことも重要です。
構造的に必要な壁=耐力壁、絶対必要なドア(トイレドアなど)は別ですが、今すぐ必要な部屋以外は作り込まないでおくことで、コストを削減することが出来ます。
たとえば子供部屋についても、まだお子さんが小さなときは個別に仕切ったりせず、広めのフリースペースのような形でとっておき、遊び場として使うというのが良いかもしれません。
この細長い部屋は、将来間仕切りを作ることで2部屋になります。
子供部屋などは必要なときに個室となるような設計にしておいて、子供が小さいときは広めの遊び場にしておいた方がコストも削減できますし、何かと便利だと思います。
シンプルでも安っぽく見えないのであればOK
鉄筋コンクリート打ちっぱなしは、仕上げを行わない工法ですが、安っぽくは見えません。
ステンレスのキッチンも同様です。
素材の良さを生かしたものは、安っぽくは見えません。
住宅設備、仕上げ、建材などについてもは、シンプルでも安っぽく見えないものを選ぶというのが重要です。
最近ではシンプルで手頃な値段の建材、住宅設備も増えてきています。
シンプルデザインでコストを抑えつつ、安っぽくないものを選んでください。
外郭はしっかりと。構造と断熱はコストをかける
ローコスト住宅だからといって、脆弱な家は困ります。
きちんとした構造計算を行い、躯体はしっかりと作りましょう。
気密性や断熱性については、家の快適性を大きく左右します。
外壁面や窓の断熱と気密についてはキッチリと作り込みましょう。
内装と違い、これらの部分は後から改修することが難しいので、設計段階からよく検討しておくことが大事です。
自然災害に対しても絶対的に安全な家をつくるのでしたら、鉄筋コンクリート住宅を候補に入れても良いかもしれません。
鉄筋コンクリート構造は地震、土石流などあらゆる自然災害に対して安全ですし、耐久性能、気密性能が抜群に高いので、初期投資以上の効果が期待出来ます。
「丈夫な建物に避難してください」「安全な建物に避難してください」の意味
まとめ
モデルハウスに行くと、凝ったデザインにあらゆる装備がついている魅力的な家がいくつも建っています。
しかし今回目指すローコスト住宅は、そんな家ではありません。
コストを抑えるために可能な限り装飾を省きシンプルなデザインで纏められた、あっさりした家です。
しかしシンプル・ローコストだからといって、安っぽい家ではありません。
構造、断熱性、気密性のしっかりとした、実用本位の住宅です。
構造と断熱がしっかりしていれば、将来、リノベーション、間取り変更などをしても大丈夫です。
是非、家族と共に育っていく家を建ててください。