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家を建てるときホームエレベータ設置を検討してみたい

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:住宅

今回のコラムはホームエレベータのある家についてです。

ホームエレベータについて、あったら便利そうだなと興味を持つ人は結構いるかと思いますが、家を建てるとき具体的に住宅プランに組み込んでみたというひとはあまり多くないかもしれません。

多くの人が「便利そうだけど・・・」という興味段階でとまっているホームエレベータについて、「普通の住宅に付けられるのか」「いくらくらいかかるのか」「維持費はどれくらいかかるのか」「ホントに便利なのか」など、なるべく具体的に書いていきたいと思います。


ホームエレベータとは何か?ホームエレベータと普通のエレベータの違い


まずホームエレベータとは何か?普通のエレベーターとの違いはあるのか?という点についてです。

ホームエレベータとは建築法的に区分された普通のエレベータとは別の住宅設備です。

ホームエレベータは設置場所が限定されており、設置できるのは個人住宅のみ

乗車人数は最大3人まで。最大積載量は200kgまで。床面積は1.3平方メートル以下。

広さ、大きさについては店舗などのエレベータに比べて決して広いとは言えませんが、住宅で家族が利用するには充分でしょう。

車椅子の利用者でも、車椅子と介護者が一緒に乗ることの出来る広さが確保されています。

階数に制限はありませんが、住宅用なので2階~4階までの商品が多いようです。

速度については法改正によりかなり速くなりました。

待ち時間も含めて、実用上問題ない速度だと思います。


一般のエレベータとホームエレベータの一番の違いは定期検査の義務が無いことでしょうか。

とはいっても安全に使っていただくために定期的なメンテナンスをお勧めしていますが、一般エレベータに比べるとかなり安く、手軽に使っていただける住宅設備になっています。

ホームエレベータの設置コスト、メンテナンスコストはどれくらいかかる


ホームエレベータの住宅への設置は具体的にいくらくらいかかるのかについてです。

まず、設置費用。

これは選ぶ機器やメーカーによって異なるので一概には言えませんが、大体軽自動車一台分くらいを想像していただければ大きく外れないと思います。

デザインやオプション、大きさなどで値段が上下するのも、車と同じですね。


設置した後のメンテナンス費用についてですが、先程も書いたとおりホームエレベータには法的な定期検査義務がありません。

しかし、多くの人が安全のためにメーカーの用意する「メンテナンスパック」を利用しています。

メンテナンスパックは定期的な機器チェックや災害時の駆けつけサービスなどがセットになって月に数千円程度が多いようです。

電気代については、使用頻度にも依りますが月に1,000円程度と考えていただいていいと思います。

維持費については、自動車に比べるとかなり安くなりますね。

ホームエレベータ

ホームエレベータの設置スペース


ホームエレベータの設置スペース(広さ)についてですが、そんなに広いスペースは必要ありません。

メーカーによる違いの他、2人乗りか3人乗りかなど大きさによっても違いがありますが、大体1.5m×1.5mくらいのスペースがあれば取り付けられます。

広さのイメージとしては畳2枚分くらいのスペースがあれば、どんなホームエレベータでも取り付けられると思ってください。

エレベータには「容積率不算入」の緩和措置もありますし、設置スペースについてはそんなに厳しくないと思います。


設置スペースについて考えるとき、平面的な間取りプランより上下方向のプランの纏め方の方が難しい(エレベータから各部屋への動線の確保)のではないでしょうか。

このあたりは経験のある建築士さんに相談しながら進めていくのが良いでしょう。

ホームエレベータのメリット1:バリアフリー


ホームエレベータの設置目的として、車椅子でも家の中を自由に移動できるようにしたいというバリアフリーがあります。

バリアフリーホームエレベータ
車椅子でなくても、高齢のためあるいは病気や怪我で階段を使うことに不自由がある人もいるかもしれません。

また、今は問題なくても近い将来のためにホームエレベータを設置しておきたいという人もいます。

どのような目的でも、上下階が楽に移動できるというのは、大きなメリットだと思います。


ホームエレベータのメリット2:上下反転間取り


もう一つのメリットとして・・・これはちょっと判り辛いのですが、上下階の間取りを反転させることができるというものがあります。

例を挙げて説明すると・・・たとえば、階段のない公団アパートでは階が上がるに従って家賃が安くなります。

反対に、タワーマンションは高層階になるにしたがって価値(値段)が上がっていきます。

エレベータの価値
この違いは上下階の移動が自由になること、つまりエレベータの有無によって発生した現象です。

これは戸建て住宅でも同じことが言えると思います。

たとえばエレベータを活用することにより、眺めや日当たりが良く周囲からの視線も気にならない2階あるいは3階をリビングにすることが出来ます。

つまり上下階の間取りを反転させるプランニングです。


1階LDK

最上階にLDK
この図のように間取りを反転させることで、隣の家が近い、道路からの視線が気になるなどのデメリットを上手く回避することが出来ます。

また、眺めが良いリビング、1日中陽当たりの良いダイニングなどを計画することも出来ます。

ホームエレベータのメリット3:荷物を運ぶのも便利


最近は日常的にウォーターサーバーを使う家庭もありますし、買い物は纏めて行うという家も多いと思います。

重い物や嵩張るモノは通販で買うという家庭もあるでしょう。

こういう家では、上下階にモノを移動できるホームエレベータが便利です。

また週末に車で一気に買い物を済ませるという家であれば、ガレージ→エレベータ→パントリー(冷蔵庫)という流れで家を設計すれば、帰宅後の荷物運びもスムーズになります。

この場合、更にビルトインガレージの家にすれば雨の日などでも不便を感じません。

ビルトインガレージとホームエレベータ
マンションの場合、どうしても荷物の出し入れに一手間がかかりますが、折角の戸建て住宅ですから荷物のことも考えて便利な家にプランニングしていただければと思います。

既存住宅にホームエレベータを設置することは可能か


今までホームエレベータのついていた家であれば、機器を新しくリプレイスするというのは、そんなに難しくないと思います。

しかし、今までホームエレベタがなかった家に新たにエレベータを取り付けるというのは・・・正直、かなり困難です。

今まで上下階を繋ぐスペースが無かったのですから、場所の確保、構造の安全性、電気設備の追加など、様々な問題が関わってきます。

また、殆どの場合、エレベータの取り付けには法的な手続き(確認申請)が必要です。

「今住んでいる家にホームエレベータを取り付けたい」・・・これについては一概には言えませんので、建築士に相談してください。

中古住宅を購入しリフォーム工事でホームエレベータを取り付けたいという人も、取り付けが可能かどうか充分調べておいた方が良いと思います。

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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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