水害から生き残る家
台風の夜、家がギシギシときしみ音をたて、突風が吹くたびに家全体が揺れる。
戸建て住宅の方は、こういう「眠れない夜」をすごしたことがある人も多いと思います。
ただでさえ大雨の浸水や停電への不安があるのに、家自体からきしみ音がしたら不安感は募ります。
「家は大丈夫なのか?壊れないか?」という、住宅に対しての根本的な不信感を持つこともあるかもしれません。
今回はその不安、不信感の要因と、その根本的な解決方法を書いていきたいと思います。
そもそも木造住宅は揺れる構造です
木造住宅の場合、強風で家がきしむ、揺れるのは、それほどそれほど珍しいことではありません。
住宅の構造というのは「地震や風力に対して崩壊しないこと」を目標に作られています。
木造軸組という工法では、家は「適度に揺れながらも壊れない」ように設計されているので、どうしても「揺れ」「きしみ音」が発生してしまいがちなのです。
たとえば「家の構造による揺れの違い」を簡単に説明すると、木造と鉄筋コンクリートでは、構造計算上の変形の大きさが全然違います。
許容する変形量が大きい木造の家では、どうしても揺れが大きくなりがちなのです。
揺れる家の屋根の形
木造住宅は雨仕舞いのために屋根勾配を大きくとる必要があるため、どうしても「風を受ける面」が大きくなってしまいます。
その結果、家全体で強風の影響を強く受けることになるので、さらに「揺れやすい家」になってしまいます。
集合住宅、特に鉄筋コンクリートのマンションから木造住宅に引っ越した人は、なんでこんなに揺れるのかと不安になるかもしれません。
しかし、在来木造住宅というのは、構造上の特性として「ある程度揺れるもの」だと思ってください。
現在の建築法規で建てられた新しい家であれば、多少揺れたからといって、そう簡単に家が壊れることはありません。
ちゃんと構造計算を行った家であれば、強風で家が揺れギシギシと音をたてても、問題は無いと考えて貰って良いでしょう。
※ただ、木造住宅の中には構造計算を行っていない家もありますので、その点は御注意ください
【参考】木造2階建て住宅でも構造の安全性チェックは絶対に必要です
【参考】地震に強い家
屋根が吹き飛ばされる心配
台風による強風、暴風の影響については、家が揺れることだけではありません。
もっと直接的な被害として、屋根のスレートや瓦が強風で吹き飛ばされる、揺れが大きくて屋根や壁に隙間が出来、そこから漏水=雨漏りするということもよくあります。
平成30年の台風第21号(関西国際空港が使用不能になった台風)では、関西で多くの家の屋根が吹き飛ばされ、補修工事も間に合わず、ブルーシートで応急処置した家が多数みられました。
屋根のスレート材の剥がれ。こうなると雨漏りしてしまいます。
台風による風の被害、屋根の一部が吹き飛ぶ、雨漏りするなどについては、風に強い屋根材を選び、しっかりと固定する工法できちんと施工すれば、ある程度避けられると思います。
ただ木造住宅はどうしても家が揺れやすい構造ですし、屋根材も劣化します。
台風の被害を出さないためには、古い住宅については定期的な点検、メンテナンスを欠かさないようにして下さい。
安心できる「揺れない家」を建てたい
台風や竜巻など、突風の時にも揺れない家を建てたいのであれば、家の構造には、重量鉄骨(屋根部分はコンクリート)あるいは鉄筋コンクリートを選んでください。
特に鉄筋コンクリートの住宅であれば、屋根と壁、基礎まで一体化していますので、揺れはほとんど感じません。
実際、台風の多い沖縄の家は約70%が鉄筋コンクリート造で作られています。
写真は沖縄の住宅地。在来木造住宅はほとんどありません。
鉄筋コンクリート造の家は、台風だけでなく地震や土石流、濁流被害にも強いので、自然災害から安心したい家を建てるのであれば、鉄筋コンクリート住宅を選ぶことをおすすめします。
【参考】「丈夫な建物に避難してください」「安全な建物に避難してください」の意味