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水害から生き残る家

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:地震に強い/耐久性に優れた家

命を守る、安全な家を建てる方法については、過去にも書いてきています。

【参考】一番安全な家を作りたい。

今回は、このような命を脅かす様々な災害の中から、特に「水害」について書いていきます。


水害、豪雨による自然災害で生命の危険のあるものというと、まず考えられるのが、土砂災害(崖崩れ、土砂崩れ、土石流など)です。

土砂災害は、いつ発生するのか予想が難しく、また、家があっという間に土砂に襲われるため避難する時間も無い、非常に危険な災害です。

土砂の流れ込むエネルギーはすさまじく、普通の木造住宅であれば壁を突き破って土砂が流れ込み、酷いときは家ごと流されてしまいます。

最近の緊急避難情報では
「避難が間に合わない場合は、家の2階、山の反対側など比較的安全な場所に移動してください」
という報道がされますが、最終的に家が流されてしまうような状況であれば、家の何処にいても生命の危険があると思います。


このような土砂災害から命を守るのであれば、家の構造自体を土砂に流されにくい丈夫な構造、つまり「鉄筋コンクリート」あるいは「重量鉄骨構造」にすることをおすすめします。

壁式鉄筋コンクリート構造の住宅の場合、コンクリートの壁で家全体を支えているので、壁を突き破って土砂が流れ込むことは、ほぼありません。
また、自重も重いので、土砂に流される可能性も低くなります。

重量鉄骨構造の場合、建物流される可能性は低いのですが、壁の強度については通常の木造住宅と大差ありません。
このような場合は、2階以上に避難しなければなりません。


ちなみに神戸には「建築物の安全性の確保に関する条例」条例があり、崖に近い場所に「鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート」以外の建物を建てることは、原則、禁止されています。

神戸市条例
住宅の構造で土砂災害を食い止められるのは「鉄筋コンクリート住宅」だけだと考えて下さい。

土砂被害
※写真は大成パルコンのコンクリート住宅です。



もうひとつ、被害の大きな水害に洪水、浸水被害があります。

洪水の場合、ゆっくり水位が上がってくるのであれば、避難する時間をとることができます。

このような場合は、2階あるいは3階に避難すれば、生命の危険は少ないでしょう。
(経済的な損失は大きいのですが)


しかし、最近の記録的豪雨災害では、堤防の決壊などで一気に水位が上がるという現象も多く発生しています。

このような増水では避難する時間が無く、生命に危険が及ぶことがあります。

河川決壊での増水では、街に溢れた水の勢いが強く、家が流されることもありますので、通常の洪水とは違った危険があります。

「勢いのある濁流が家を襲う」・・・このような状況でも安全な家を建てるのでしたら、やはり「鉄筋コンクリート」「重量鉄骨構造」の家をお薦めします。

鉄筋コンクリートは、その自重と壁と一体化した駆体の強度で、濁流の中でも流されることはまず無いと思います。

重量鉄骨も家も、過去の実績から考えて、洪水浸水での安全性はかなり高いと考えられます。
(2015年の鬼怒川決壊時のへーベスハウスが有名ですね)

コンクリート壁

水害という非常時においては、家自体に外力に対抗できる強度があることが、命を守る最後の砦となります。

水害から命を守る、安心出来る家を建てるのでしたら、まず鉄筋コンクリート住宅を検討することをお薦めします。


  ◇ ◇ ◇


家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】

興味のある分野があれば、是非、目を通して下さい。


 ◇ ◇ ◇


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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

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