家に住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【家がゆれる、きしむ】
過去のコラムを読んで頂ければ判りますが、私はハウスメーカーの住宅を敵視している訳ではありません。
こういう仕事をしていますから、自分が設計する物件以外でも、住宅に関する相談を受けることはよくあります。
実際、知人から「○○ハウスの家って、どうでしょう」という相談を受けて、ハウスメーカーのモデルハウスを見に行くこともあります。
そういう場合は、公平な目で意見を述べさせて頂いております。
ただ、住宅を設計している建築士の立場からみて、ハウスメーカーの住宅設計について、幾つか不満があるのも事実です。
悪口を書くつもりは無いのですが、今回は、それらの不満を幾つか書かせて頂きます。
◆専門知識の乏しい人が多い
数千万のものを売るのですから、営業職といえども、もっと専門知識があっても良いのでないでしょうか。
たとえば、営業の担当者に「建築士」「施工管理士」など、建築に関する資格を持った人が殆ど居ないというのは、問題だと思います。
(たまに二級建築士の人はいますが)
また、税金(固定資産税)や住宅保険(火災保険、地震保険)、住宅ローンに関する知識のある人も、もっと居て良いと思います。
高い買い物なのですから、お客様と直接話をする人には、きっちりとした専門知識を持って貰わないと困ります。
◆無責任な人がいる
営業の人が「出来ない」と言ったことが、設計担当者と打ち合わせしたら「出来る」ようになった。
反対に、営業が安請け合いしたことが、施工段階になったら「出来ない」ことが判ったなど、不正確な情報で振り回されることも多いです。
ハウスメーカーは「営業」「設計」「現場監督」と担当が変わっていくので、その度に言っていることが違うということも良くあります。
もっと自分の発言には責任を持って欲しいと思います。
◆もっとお客さんの要望を聞くべき
打ち合わせをすすめてプランを作成していると、「普通はこうです」的な決めつけで設計を進められることが良くあります。
たとえばプランを決めるときに、「収納スペースはこれくらいで充分です」のような言い方をされることがあります。
しかし、その前に、どれくらいのモノがあるのか、どこに何を収納したいのか、ちゃんと要望を聞くのが本当のプランニングではないでしょうか。
普段の生活パターン、趣味、持っているモノ、将来に関する希望(予測)など、まずはお客様の話をきっちりと聞いてください。
予算と家族構成を聞いただけで、すぐにプランを決定しようとする営業の人もいますが、そういうことは止めて欲しいと思います。
◆土地に合わせて設計しない
規格化住宅なので仕方のない部分もありますが、土地に合わせた設計をしてくれないハウスメーカーが多すぎると思います。
たとえば、設計者はちゃんと現地を見に行った上で、設計を行っているのでしょうか。
周囲の状況、たとえば隣の家の窓の位置を確認してから、窓の配置を決めているのでしょうか。
土地の高低差、変形地に対する設計手法も、正直、あまり考慮されていないと思います。
自社で一括開発する郊外のニュータウンのような場所なら問題ないのかもしれませんが、既存の住宅地に建てるのなら、もう少し土地に合わせた設計を行うべきではないでしょうか。
◆高さ方向の設計に無頓着
これも、規格化住宅では仕方のない部分かもしれません。
しかし、「開放感のあるリビングが欲しい」という要望に対して、「2階まで吹き抜け、天井高5mのリビングにしましょう」とか、あまりにも高さ方向に大雑把すぎるのではないでしょうか。
(冬の寒さ対策は、どうするつもりでしょう?)
その他にも階段の幅、高さの寸法など、毎日の生活の快適性に大きく影響する部分を、すべて「規格サイズで決まっています」というのは、ちょっと乱暴だと思います。
平面プランでは気付きにくいところですが、高さの設計は、生活してしていく上で大きな要素を占めていると思います。
高さ方向の設計には、もうすこし気を使って欲しいと思います。
うちで手がけたリノベーション物件です。
天井高は普通の部屋の1.3倍くらい。
開放感と空調効率を考えると、これくらいが良いかもしれません。
◆外壁に無駄な凹凸を付けたがる
ハウスメーカーの住宅の殆どは、外壁面にボード材を貼り付ける工法で作られています。
この工法の場合、家の見た目デザインを決める大きな要素は、外壁ボード材の出来次第になります。
外壁面のボード材については、見た目の高級感を追求したものも増えてきました。
しかし、基本的には同じ模様の繰り返しで出来ていますから、どうしても壁一面に広く貼ると単調になり、安っぽく見えてしまいがちです。
それを避けるため、ハウスメーカーのデザインプランでは、壁になるべく凹凸を付けて、単調に見えないようにするのが「定番プラン」になっています。
壁の一部を出っ張らせる(へこませる)、出窓をつくる、連装サッシを付けるなど、凹凸やアクセントを増やして、壁を単調に(安っぽく)見せない工夫が成されているのです。
個人的に、こういった「合理性に欠く」設計手法は、好きになれません。
また、こういった機能的に意味のない凹凸は、コストを上げる要因にもなります。
安っぽく見せないための対策はあくまでも材料で行うべきで、こういう居住性を向上させない小手先のデザインは止めて欲しいと、個人的には思っています。
凹凸が無い、シンプルな外壁でも「素材感」で安っぽく見えない家もあります。
◆高い
これを言ってはいけないのかもしれませんが・・・大手ハウスメーカーの家は、高いです。
宣伝費、営業経費など、間接費用にお金が掛かっているのかもしれませんが、もう少し安ければ良いのにと思うことがあります。
建築事務所に依頼して注文住宅を建てることと、ハウスメーカーの設計で住宅を建てることには、それぞれの棲み分けがあると思っています。
「均質的」「全国的」「大量生産」で住宅を供給することは、建築設計事務所には出来ません。
今回のコラムについては、ハウスメーカーの悪口を書いてしまったようなところもありますが、是非、ハウスメーカーさんにも頑張って良い住宅を供給して貰いたいと思っています。
以下は宣伝になりますが・・・
「棲み分け」という意味では、阪神間というエリアで「高性能」「高耐震性」な家をつくるのでしたら、弊社は大手ハウスメーカーにも充分対抗できると考えております。
このエリアで注文住宅をお考えの方、是非一度お問い合わせください。
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http://mbp-japan.com/hyogo/revontulet/column/25680/
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