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自分で家を建てたい人、セルフビルドの実際【4】それでもやりたい人向け、新築DIYについて。

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:住宅

これまで3回のコラムでは、建築に関する法的な問題、工事安全性の問題、施工上の問題などについて、実現が困難な事柄を幾つも挙げてきました。


【以前のコラム】

【1】テレビや雑誌に惑わされない。

【2】法的な問題について(確認申請、建築許可)

【3】建築工事の実務作業、安全性の確保


今回は、これらの困難を克服し、実現する方法について、現実的に考えてみます。


基礎配筋
※写真は住宅の基礎配筋です。

法的な問題、施工上の問題をクリアして、なんとか自分の手で自分の家を作ってみたいのでしたら、たとえば、以下のような方法は如何でしょうか?


◆ログハウスなどのセルフビルト、ハーフビルドハウスを利用する

インターネットで「セルフビルト」「ハーフビルド」などの用語で検索すると、幾つもサポート業者がヒットすると思います。

その中にはキットで建てる輸入住宅や、ログハウス、ユニット式の住宅など、いろいろなものがあります。

どうしても、自分で家を建てたいという人は、これらの会社にサポートをして貰えば、家が建てられるかもしれません。

これらの会社の中には基礎の工事や法的申請、構造の安全性など、いろいろなサポート体制を売りにしているところもあります。

住宅ローンへの対応、火災保険、地震保険への対応なども、相談に乗ってくれるかもしれません。

これらの情報を調べ、納得がいけば、自分で家を建てるという夢が叶えられるかもしれません。


※本格的なログハウスを計画している人へのアドバイス
ちゃんとログを積んだ「本物のログハウス」は、イメージ程、断熱性が高い訳ではありません。
また、構造上、大きな窓は付けられませんし、木は収縮しますので、長期的なメンテナンスも必要です。
外壁が可燃材ですので、都市部では建てられない場合もあります。
「本物のログハウス」に憧れている方は、そのあたりの覚悟が必要だと理解して下さい。
・・・個人的には、ログハウスも結構好きなんですけど、現実的には、誰にでもお勧め出来るものではないと思っています。


◆中古住宅を買って、自分で大規模リフォーム、リノベーションする

イメージとしては、よくテレビ番組でやっている、あんな感じでしょうか。

注意して欲しい点は、壁、柱、床、はり、屋根、階段などの「主要構造部」についての変更は、安易に行わないことです。

法律上、「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」は、確認申請が必要になってきます。

何が主要構造部なのか、判断がつかない場合は、とりあえず、「内装だけ」を変えることをおすすめします。


もし、中古の家を購入して、自分で大規模リフォーム、リノベーションを行う場合は、構造のしっかりした家を選んで下さい。

築年数が古い家の場合、出来れば、購入前に耐震診断を行うことをおすすめします。

もし購入前に構造安全性の確認が行えない場合、大手ハウスメーカーの軽量鉄骨住宅(いわゆるプレハブ住宅)などを選ぶのが無難かもしれません。

軽量鉄骨住宅の場合、建築時の構造安全性は確保されていますし、構造骨組みは鉄骨ですので、劣化の可能性は低いといえます。


※個人的な意見ですが・・・
「築年数が古く、値段が安い木造住宅」の場合、構造的な安全性には疑いの目を向けて貰った方が良いかもしれません。
在来木造住宅の耐震基準は、古いもの程、低くなっています。
経年劣化、審査基準、検査基準の緩さなども考えると、「古い木造住宅」を購入して住む場合には、ある程度の構造安全性チェックが必須ではないかと思います。


◆建築士と役割分担してセルフビルド、新築DIY

これは、家の基本構造までの工事を建設会社と建築士に依頼して、最後の仕上げを施主が自ら行うという方法です。

具体的には、

・確認申請、中間検査、完了検査などの法的な問題は、建築事務所が担当
・建物の建築(基礎、壁、柱、屋根、階段、床など)は、施工会社が担当
・引き渡し後に、施主自らが内装仕上げを行う

のような手順で家を建てるものです。

もちろん、家には設計段階で施主さんの意見が反映されていますので、思い通りの家を作るには一番手軽な方法かもしれません。


ただ、この方法をとる場合も、幾つか引っかかる点があります。

たとえば、

◇完了検査は「家が完成した」状態でないと受けられません。
 たとえば、天井や床の無い状態では完了検査は受けられません。
 最低限、これらの部分は、施工会社に任せる必要があります。

◇施工会社の工事責任範囲を明確にする必要があります。
 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、個人住宅には無条件で10年の保証が与えられています。
 そのため、施工会社は「施主が勝手にやった工事」で、家が傷付けられることを嫌がります。
 施工会社の責任範囲と施主の自己責任工事の範囲・・・このあたりの線引きをはっきりさせておく必要があります。

などです。


実際、私もちょっと関わったことがありますが、確認申請審査機関との折衝や施工会社との責任分担など、実務上いろいろ面倒な事柄は発生します。

それでも「自分の家は自分で作りたい」という人は、建築士に相談してみてください。


・・・以上、4回にわたって「セルフビルド」について書いてきました。

個人的な考えでは、家つくりのおもしろさは、セルフビルドにこだわらなくても得られるのではないかと思っています。

建て売り住宅や建築条件付き住宅、ハウスメーカーの家では、家作りでの選択肢が少なく、思い通りの家が建てられないかもしれません。

しかし、自分と好みが合いそうな建築事務所をパートナーに選んで一緒に家作りを行えば、「自分の家を作る楽しみ」は得られるのではないかと思っています。


◆ その他の関連コラム / 目次 ◆

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   ◇ ◇ ◇


家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】
http://mbp-japan.com/hyogo/revontulet/column/25680/

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 ◇ ◇ ◇


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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

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