高低差のある住宅地、傾斜地に家を建てる方法(傾斜地を購入するとき注意すること)
家を建てた後にはじめてわかる失敗ポイントやイライラポイント、今回はエアコンについてです。
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私が主に仕事をしている関西地方は、比較的温暖な地域です。
山からの冷たい風は吹くものの冬の寒さはそれほど厳しいものではなく、断熱性のしっかりした家を建てれば、冬は床暖房だけでも過ごすことが出来ます。
しかし冬に比べると、夏の暑さは非常に厳しいものがあります。
それでも神戸、芦屋、西宮などの阪神間は、山からの風もあり比較的過ごしやすいのですが、湿度が高く風のない大阪、盆地特有の高温が続く京都などは、夏の間、エアコンなしでは過ごせないのではないかと思います。
私は風と光を取り込む設計を心がけています。
今住んでいる神戸でも、夏はなるべく窓開けで乗り切れるように計画していますが、大阪や京都の酷暑はさすがに無理。
エアコンに頼る比重も高くなってきます。
エアコンが必須になりつつある現在の家ですが、新築にもかかわらず、空調計画の甘い家が時々見受けられます。
いくらデザイン性が高い家でも、快適な温度が保てない家では困ります。
◆室外機を置く場所に困る家
敷地に余裕のある家なら問題にならないのですが、敷地が狭く隣の家が近い都市部の家では、エアコンの室外機の置き場所に困ることがあります。
家庭用エアコンの室外機は、高低差が5m程度、配管長が7m程度が推奨されています。
高低差を5mくらいに抑える場合、2階の部屋のエアコンを1階に置くことは可能ですが、3階の部屋のエアコンを1階に置くことは難しくなります。
そもそも3階建ての家は、隣地の近い都市部の住宅に多い訳ですから、室外機置き場には、ますます困ることになります。
また、「配管長が7m程度まで」ということを考慮すれば、室外機はエアコンの位置から左右2~3mの範囲に設置する必要があります。
更に、室外機を家の正面に置きたくない、目立つところに置きたくないという人も多いと思います。
風通しの悪い、狭い場所に室外機を置くと、冷房効率が下がるなどの問題もあります。
新築住宅の設計時には、エアコンの設置場所とともに、室外機の置き場所にも配慮が必要です。
エアコンの室外機のためのバルコニー。
メンテナンスを考えると、室外機置き場にもある程度のスペースは必要です。
◆エアコンが効かない
カタログ性能通りにエアコンが効かなくて困る、という家もあります。
その原因には、たとえば、以下のようなことが考えられます。
まず、外部からの熱の流入が多すぎる場合です。
デザイン性重視のリビングで南側を全面窓にしたときなど、夏の直射日光が強すぎてエアコンが効率よく効かなくなることがあります。
眺望や開放感を求めて広い窓を付けるのは判りますが、その場合は庇を付ける、窓ガラスに熱線遮断ガラス使うなどの対策が必要です。
写真は旭硝子のエコガラス「サンバランス」。高い熱線遮断性能があります。
実際、私も同じシリーズの窓ガラスを使っていますが、肌に感じる直射日光の「暑さ」が全然違います。
その他、部屋の断熱性能が低い、空調範囲の気積が大きい(天井が高い、吹き抜けがある)などが原因のこともあります。
通常、エアコンをカタログで探すとき、「広さ」だけを基準にして商品を選定します。
その結果、家の「断熱性能」や「天井高さ」の判断要素が不足してしまい、たとえば吹き抜けのあるリビングや、天井が高く広いリビングダイニングなどでは、エアコンの効きが悪くなってしまいます。
「エアコンの効き具合」というのは個人の感覚に依る部分も大きく、なかなかカタログ性能どおりにはいかない面もあります。
新築で、まだどのようなエアコンが必要か判らないときには、エアコン設置用のスペース(配管、電源など)を複数台分用意しておき、住みながら調整するのも良いかもしれません。
◆その他、後悔しないための対策について
・大型エアコンを使いたい
広いリビングダイニングでは、大型の業務用エアコンを使いたいという方もいるかと思います。
値段的にはかなり安くなった業務用エアコンですが、設置には200V電源(家庭用だと、単相200V)が必要です。
この200V電源は、新築時なら大がかりな工事をせずに導入出来ます。
大型エアコンを考えている方は、建築時設計者に相談してみてください。
・室外機の振動
木造住宅のバルコニーに室外機を置いたとき、室外機の振動が気になるという場合があります。
これは機器によっても違いますし、必ず起こるという訳でもありません。
「全く問題ない」という人も多い一方、「振動防止材を使っても気になる」という方もいます。
木造住宅の場合、可能であればバルコニーには室外機を置かない方が良いかもしれません。
・断熱をきっちりすること。
家電量販店でエアコンを選ぶとき、商品に書いてある性能表示は、
木造○○畳、鉄筋コンクリート○○畳
となっています。
この広さの数字は、木造の方が狭い畳数であり、要するに「木造住宅の方がエアコンが効きにくい」という設定がなされています。
「エアコンが効く」かどうかは、家の断熱性(窓、壁の断熱性)、気密の問題です。
これは、直接的には家の構造と関係ありません。
コンクリート住宅の気密性が高いのは確かですが、木造住宅でも気密性、断熱性の高い家は作れます。
エアコンが効かない家にしないためには、どんな構造であれ断熱性能の高い家を建てるようにしてください。
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テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】
http://mbp-japan.com/hyogo/revontulet/column/25680/
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