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住んでから判るイライラポイントをチェックしておこう【窓の話、防音の話】

浅井知彦

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テーマ:神戸、芦屋、西宮で家を建てる

家を建てた後にはじめてわかる失敗ポイントやイライラポイント、今回は窓についてです。

【参考】住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【シャワーに関する不満】

【参考】家に住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【家がゆれる、きしむ】

【参考】家に住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【キッチンに関する不満】


私は、住宅を設計するとき、なるべく光と風を取り込むようにと考えながらプランを作成しています。

住宅において光や風を家に取り入れる場所は、窓です。

隣の家が近くになるような都会の住宅地では、窓の配置、大きさ、形、機能はとても重要です。

では、光や風を多く取り入れるためには、窓を大きく、たくさん付ければ良いのかというと・・・話はそう簡単ではありません。


日本には四季があります。

冬は寒く、夏は暑い。雨も欧米に比べれは多く降ります。

更に冬以外は蚊などの虫も多く、街中の住宅では騒音もあります。

最近では、PM2.5などの大気汚染も気になります。

イメージだけで開放的な窓を作っても、実際には「使えない」可能性もあるのです。


◆網戸のない大きな窓

たとえば「窓を引き込んで壁一面を全面開口に」するタイプの窓です。

テレビの「住宅紹介」番組などでも、よく見かけます。

確かに、眺望の良い場所などでは、ガラスのない、全面開口の窓というのは魅力的です。

しかし、実際にこの窓を開け放しておく機会は、どれくらいあるのでしょうか。

デザイン性を重視したオーダー窓では、網戸のないものが多いと思います。

日本では、窓を開けっ放しにしておけるのは、蚊などの虫が気にならない冬くらいです。

その時期は寒くて開けていられないでしょう。

かといって真夏は、暑くて開けていられないかもしれません。

フルオープンの窓

写真はYKK-APの全開放サッシ「ワイドオープン」です。

この商品にはオプションで「網戸」があります。


「眺望の望める大開口窓」は魅力的ですが、その使い勝手をよく考えて設置しないと、ただのはめ殺し窓になってしまう可能性があります。


◆寒い

最近では関西でもペアガラスが殆どになりましたが、それでも断熱材の入った壁に比べると、普通のガラス窓の断熱性能は1/7くらいの低さです。

つまり、広い窓は「寒い」のです。

【参考】断熱性能の高い家で寒さ対策【窓ガラス・サッシ】

断熱性能を考えてみたとき、「明るくて開放的な広い窓が欲しい」と「断熱性が高い家が欲しい」の2つは矛盾する考えになってしまいます。

窓の断熱性を考えず、見た目の良さだけで「大開口ガラス窓」を計画すると、空調が効かない家になり、住んでから後悔することになります。

「明るく広い窓」と「高断熱性」・・・難しい問題ですが、高断熱サッシや二重窓、カーテンなどを有効に使い、窓の大きさ、位置や配置を工夫して「最適な窓配置」を探してみてください。


◆うるさい

防音については、以前、こちらにも書いています。

【参考】楽器を演奏するための部屋/ホームスタジオを作る方法

【参考】ホームシアター/防音室を作るにはどうしたらいいのか

これらの防音は、室内から外への防音についてでした。

今回はその逆、外からの音を如何に遮るかという話になります。


家を建てる場所によっては、外からの騒音を避けられない場合があります。

道路の近くや線路の近く、人通りの多い広い街路に面したところなど、街中の家で快適に暮らすには、外からの音を上手くシャットアウトする必要が出てきます。

家の外からの騒音が部屋に入ってくるメインルートは、やはり「窓」です。

窓の遮音性能をあげると、室内に入る騒音は確実に小さくなります。

窓サッシには遮音性によってT-1(遮音性能が低い)~T-4(遮音性能が高い)までのランクがあります。

騒音が気になる場所なら、遮音性能の高いものを選ぶか、二重サッシを選ぶと良いでしょう。
(最近は普及タイプの二重サッシ商品が増えてきたようです)

また、確実に騒音をシャットアウトしたいのなら、壁の防音性能も上げる必要があります。

その場合、遮音性能の高い壁=コンクリート壁の住宅をおすすめします。
(コンクリート壁の音の透過損失は50dbくらい。通常の木造壁は30dbくらいなので、かなり違います)


◆その他、設計時に検討して欲しいもの


【防犯が気になる】

防犯が気になる方には、割れにくい「防犯ガラス」というものもあります。

【参考】防犯性能の高い家を作る方法

後でガラスを取り替えると費用が高くつきますので、新築時、設計に取り入れることをおすすめします。


【網入りガラスは嫌い】

街中の住宅では、防火地域の関係から、窓を「防火設備」にしなければならないことが多くあります。

「防火設備」の窓ガラスの多くは、「網入りガラス」になっています。

デザインに拘ったデザイナース住宅でも窓ガラスには「網入り」が使われていることが多いので、街中の家では網入りガラスは避けられないのかと思われるかもしれません。

網入りが主流になった防火ガラスですが、「網なし」防火ガラスもちゃんとあります。

網入りガラス網なしガラス

写真は、旭硝子の「マイボーカ」から。

「少しくらいコストが掛かってもクリアな視界が欲しい」という方には、こういった「網なし防火ガラス」を選ぶという方法もあるかもしれません。

「防火地域内でもクリアな視界の窓が欲しい」という方は、設計のとき建築士に相談してください。


【サッシの質感】

木製サッシ

写真は、うちの家で使っている木製サッシです。

この窓は外部も木製なので、多少メンテナンスが必要です。

エピソードウッド

写真は、YKKAPのエピソードウッドという商品です。

この窓はアルミと天然木の複合構造なので、室内からの見た目は木ですが、通常の木製サッシよりメンテナンスが楽になっています。

サッシの質感、断熱性能ともに高い、おすすめの窓サッシなのですが、値段の方も少し高くなってしまいますね。



住宅の窓は、簡単に取り替えることはできません。

窓の位置、サッシの種類は、住む上での快適性を大きく左右しますので、家を建てるときは設計者とよく相談して決めて下さい。


◆ その他の関連コラム / 目次 ◆

屋上緑化/屋上庭園のある家を作りませんか?

鉄筋コンクリート住宅が都会向きの構造である理由

建築事務所と家を建てるメリット

地震に強い家

耐久性に優れた家


   ◇ ◇ ◇

家を作るときに考えて欲しいことについて、こちらのページに纏めてみました。

テーマ別コラムのまとめ【ペット/寒さ対策/子育て/地震に強い鉄筋コンクリート住宅など】
http://mbp-japan.com/hyogo/revontulet/column/25680/

興味のある分野があれば、是非、目を通して下さい。


 ◇ ◇ ◇


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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

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