安心できる家つくりには「工事監理」が重要です

浅井知彦

浅井知彦

テーマ:住宅

家を建てるとき、現場監督の役割は重要です。

「家を建てるときの仕上がりの良さは、現場監督で決まる」という人もいるくらいです。

それと並んで、もうひとつ重要なのは「工事監理」です。

これは建築現場がきちんと設計どおりに作業されているかどうか「監理する」法定業務で、一般的に建築士の仕事となります。

つまり、

 現場作業の指示をする人 → 現場監督

 作業結果が適切かチェックする人 → 工事監理者

です。

この両者がきちんとした仕事をすることで、建築現場は作業がすすみ、安心出来る家が建つのです。

基礎工事


しかし現実には、「現場監督がほとんど見ていない」建築工事も多くあるのです。

たとえば、住宅メーカーでは、現場監督は複数の現場を担当している場合が殆どです。

会社によっては、1人で2桁近い数の現場を担当しているところもあります。

こうなると、現場監督が建築現場に顔を出すのは1~2週間に1回程度。

巡回でチェックに現れるのがせいぜいになります。


工事監理者についても同様です。

住宅メーカーの管理職が名ばかりの工事監理者になっており、現場にはほとんど顔を出さないということが多いのです。

また、工事監理者とは「現場をチェックしていく」仕事なのですから、建築会社から独立した立場であることが望ましいとされています。

しかし、これも現実には、同じ会社の人が「工事監理者」をやっていることが多いのです。


そういうやり方でも、現場監督の指示が的確で、作業をする職人が誠実かつ優秀なら問題ないのかもしれません。

しかし、自分の家を確実に、安全に建てたいのでしたら、ちゃんと現場に足を運ぶ「現場監督」「工事監理者」が必要ではないでしょうか。


過去に、大雨の中、何の対策もせずに基礎コンクリートの打設をしている現場をみたこともあります。

現場監督の指示なのかどうかは不明ですが(現場監督は監督が居なかった?)、明らかに強度低下を招く施工です。

基礎、壁の内部や柱、土台部分などは、安全上重要な部分なのですが、反面、工事が進むと見えなくなってしまう部分でもあります。

現場監督が不在、監理者のチェック体制が効いてない現場では、安全上問題のある部分がどんどん隠蔽され、工事が進んでいく可能性があるのです。


基礎配筋
写真は基礎梁部分、コンクリート打設前の写真です。

この段階でチェックしておかないと、コンクリートが固まってしまえば、判らなくなってしまいます。


家を建てるときは、値段や間取りプランをみるだけではなく、実際にどのように工事を行が行われるのか、その施工体制も確認してみてください。

第三者によるチェック機能が働かせるのでしたら、建築士に施工監理を依頼するのも良いと思います。
(最近では、そういうチェック業務を専門にやっている会社もありますね)

設計施工のすべてを一つの施工会社に任せるのか、「建築事務所」+「施工会社」の組みあわせで家つくりを行うのかなど、いろいろと検討した上で、安心出来る家つくりをしてください。

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浅井知彦
専門家

浅井知彦(一級建築士、コンクリート診断士、マンション管理士)

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

素材メーカーで研究してきた技術者としての経験を生かし、鉄筋コンクリート造の住宅を提案。快適な住空間に仕上げるため、デザインありきではなく機能性重視の家づくりを行っています。

浅井知彦プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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