アンモニア噴水の実験
ヨウ素でんぷん反応と薬局の親和性はかなり高いです。
「でんぷんって何?」と聞くと、大体ジャガイモに入っているやつとか、
よく勉強しているお子さんであれば、植物が水と二酸化炭素を原料に光合成を行って生成される物と答えます。
また、実際には目でも光学顕微鏡でも見えないくらい小さな存在であるブドウ糖(分子)ですが、それがいくつも繋がれてできているのがデキストリンやデンプンです。
食品の中にも難消化性デキストリンや化学の分野で出てくる環状になったシクロデキストリンなどが有名です。デンプンもそこら中にありますが、バレイショデンプンなどは子供の薬を作る時に混ぜたりします。
普通はバレイショデンプンではなくて、乳糖を使いますが、小さいお子さんの中には乳糖不耐性といって乳糖を摂ると下痢になる事があります。こんな場合に重宝されるのはバレイショデンプンです。このデンプンですが、口から入れてもそれだけでは体に吸収されません、分子でみると糖よりも遥かに大きいので、小さくバラバラにされてブドウ糖になってから腸から吸収されます。
では勝手にはバラバラにはなりません、体内にある例えば唾などに入っている消化酵素によって小さくなります。この消化酵素を人工的に粉薬やカプセルや錠剤にしたのが、消化剤です。
実際の消化剤には色々な酵素が組み合わさっていますが、デンプンを分解するのはアミラーゼです。デンプンは大きな分子で複雑な形をしています、これが理由でヨウ素液の色が茶→青紫に変わります。
小学生はここまで説明すると「じゃあ、デンプンで唾をかけたら、デンプンが小さくなってヨウ素液の色が変化しなんじゃ。」と気が付きます。
実際には唾をペッペッしながら実験するよりも、薬局にある消化酵素剤の入った液の中にデンプンを加えて、ヨウ素液の色が変化するかを調べます。
予想どおり、ヨウ素液は青紫にはなりません。そして今度は消化酵素の入った液体を100℃のお湯の中にしばらく入れてから、デンプンを加えてみます。
今度は青紫になります。アミラーゼは90℃で完全に失活すると言われており、その通りの結果になります。
「とんかつ食べたら胃がもたれるから、初めからパン粉に消化酵素剤を混ぜてくれたらいいのに」という提案に対して、2時間勉強した小学生はダメな理由を正確に語ってくれます。
ヨウ素液はイソジンガーグルを薄めて使います、消化剤も必ず薬局にあります。