コラム
アルカリ性にすると色が変わるのは薬局で大切なこと。
2019年3月9日
こもれび薬局で紫雲膏という軟膏を製造する事があります。
紫雲膏とは生薬を配合したやけどの特効薬で、江戸時代に開発された塗り薬です。
江戸時代の外科医 華岡青洲の開発です。
華岡青洲については小説などでも有名なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
世界で初めて全身麻酔による外科手術を行った事が最大の功績ですが、その過程では実母と
妻が麻酔薬の実験台になるという壮絶な物語が残っています。
全身麻酔薬の完成形として通仙散(今では副作用の為に存在しません)や紫雲膏など薬を開発した事もまた大きな功績です。
ただ開発者の華岡青洲でも知らないのが、我々薬局の薬剤師が製造する紫雲膏の試験です。
試験といっても筆記の試験とかではなく、製造した薬がちゃんとした薬かを検査することです。
具体的には紫雲膏に主な原料であるシコンという植物の主成分がちゃんと入っているかを確かめる事です。
具体的な手順は薬剤師でもあまり知らないと思いますが、ざっと以下の通りです。
少量の紫雲膏をとり、エーテル(有機溶媒)に溶かします。
この時点で赤い色の溶液になってます。
次に、この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加える。
そうすると、液の色が赤から青くなります。
ここでなぜ色が変わったのか・・・・溶液の中で分子の存在する形が変わったから。
青色の層は上の方か下の方か・・・・混ざらない水とジエチルエーテルの密度の違い
そもそもなぜ赤く見えていたのか・・・光の波長など
小学生・中学生が勉強する内容を実際の薬の製造から学んだり、逆に受験用に勉強している内容が、実際の仕事ではどう役に立つのかを学ぶことができます。
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