本当にあった商標の怖い話
皆さん、こんばんは。
弁理士の岩崎です。
商標法に「自他識別力のない商標は登録されない」という規定があります。
具体的にいうと、商品「サニーレタス」につて商標「サニーレタス」、
商品「電子計算機」について商標「コンピュータ」、商品「アルミニウム」
について商標「アルミ」等です。
また、役務「放送番組の制作」について、商標「バラエティ」です。
これらは、誰の商標であるか識別できない、という理由で登録できないことになっています。
ここまでは納得できるのですが、
最近は、自分が独自に考え出した言葉であっても、「自他識別力なし」で登録されない
ことが増えてきました。
理由は、インターネットの発達です。
例えば、自分が「かえる先生」という言葉を考えて、指定役務「かえるに関する知識の教授」
について商標「かえる先生」を出願したとします。
その後にSNSで自分が「かえる先生」という言葉を使い、多くの人に発信すれば、
「かえる先生」が拡散されて、第三者が「かえる先生」をインターネット上で使いだします。
やがて、特許庁の審査官さんが、審査を開始し、インターネット検索をすると
なんと「かえる先生」が数件ヒットしました。
そうすると、どうなるか?
審査官さんは、
「本願の商標はインターネット上で普通に使用されているので自他識別力がない
ので登録できない」
といってきます。
インターネットがなかった時代には、考えられないことです。
インターネット検索で数件が検索結果に表示されただけで、本当に自他識別力がないの?
と疑問ですが、審査官さんは、「意見があれば述べなさい」といってくるのです。
商標は、特許や意匠とは異なり、新規性は要求されず、選択物のはずなのですが、
なぜか、自他識別力の有無が新規性の有無のようなことになってしまっています。
ですから、皆さんも、商標権の取得を考えておられるのであれば、
出願が済むまでは、あまりSNSで拡散しない方がいいと思います。