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岩崎吉男

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岩崎吉男(いわさきよしお) / 弁理士

ナレッジ特許&技術士事務所

コラム

エンブレムと関係する権利の整理

2015年8月17日

テーマ:商標の基礎知識

コラムカテゴリ:法律関連

東京オリンピックのエンブレム問題もありますので、もう一権利関係の整理をしてみます。
検討する権利は、商標権、著作権、不正競争防止法になります。
1.商標権 
これは、権利を求める国ごとに商標と保護を求める商品やサービスとをセットにして登録しておく必要があります。
今回のベルギーの劇場のロゴは商標登録されていないようですから、商標権の侵害は発生しません。
繰り返しますが、商標権と著作権は全く保護する対象が違います。

2.著作権
これも、原則として国ごとに保護する制度が違いますが、著作物の創作と同時に権利が発生する無登録主義が主流です。
そして、著作権は著作物が創作された国で保護されます。
そうすると、ベルギーで創作された著作物は日本では保護されないのか、という疑問がわきます。
そうです。原則は保護されません。
しかし、現実は国際間の著作物を保護する条約があり、その加盟国の著作物は、加盟国同士で保護されます。
ですから、他の加盟国で創作された著作物は、日本国内でも無断でコピーできないことになります。
それと、もう一つ。
著作物は似ていても、それが別箇独自に創作され、偶然似ていた場合には、どちらにも著作権が発生しますので、権利侵害にはなりません。
これを依拠性というのですが、今回であれば全く依拠していない証明をしなければならず、インターネットが発達した現在、誰もがその気になればベルギーの劇場のロゴを見れた状態であったことを考えれば、その証明は難しいと思います。
ずっと、通信回線のない無人島にいたのであれば、証明できるかもしれませんが・・・。
それから、著作物かどうか、また似ているか否かも問題になります。
創作性のないただの文字や記号は著作物ではありません。
単なる「T」や三角形などです。

3.不正競争防止法
不正競争防止法に該当するには、①周知性+混同または②著名性が必要です。
ベルギーの劇場のロゴは、そこまで世間に知れ渡っていないと思いますので、不正競争防止法の適用は困難でしょう。

以上から、適用されるとすれば著作権法違反でしょう。
ただ、依拠性の証明が難しいとしても、そんなに複雑な図形ではないので、デッドコピーでない限り、複製権の侵害とするのは難しいと思います。







 

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