グレーゾーンが一番広い。真理は常に中間にある
私が施設の改良工事の新米現場責任者をやっていたときのことです。
その現場がある地区には自治会がありました。
そこの自治会長さんはとても、厳しい方で、その地区内で工事を
するには、絶対に地元説明会が必要でした。
■私は、そのことを知っていたのですが、小さな工事だから地元説
明会は不要だと勝手に判断して、工事に着手しました。
すると、工事開始後2日ほどたって、その自治会長さんから会社
へ電話がかかってきました。
電話の内容は
「なぜ、説明もなしに工事をやっているのか。説明に来い。」
ということでした。
■そのとき、こちらに非があることは分かっていましたので、私は
「すぐに工事を中止します。」
といってしまったのです。
すると、これを聞いた自治会長さんは激怒され、
「すぐに中止できるような工事やったら、止めてしまえ。今後一
切、工事はさせん。」
「もう、お前の話は聞かん。」
そう行って一方的に電話を切られてしまいました。
■その様子を心配していた私の上司が、理由を聞いたので、
「「今後一切工事をさせん。お前では話にならん。」といわれて
しまいました。」
と報告しました。
それを聞いた上司はすぐに、その自治会長さんのところへ飛んで
いったのですが、結果は知らされませんでした。
■その日の終業後、いつもは朗らかな大先輩から
「なぜ、お前では話にならんといわれたからと、課長にふったんや。
自分の責任を放棄したらあかん。あんたをみそこなった。」
と言われてしまいました。
その翌日は土曜日で会社は休みだったのですが、どうしてもこのこ
とが、気になってしかたがありません。
■月曜日に出社してから、自治会長さんに謝りにいけばいいのですが、
それまでは、ずっと気になるままです。
そこで、今から謝りにいこうと決めました。
日本酒を1本買って、その自治会長さんのお宅にお伺いしました。
■玄関のベルを押して、緊張して待っていると、中から会長さんが現
れました。
私は、会長さんの姿を見るなり
「申し訳ありませんでした。」
と深々と頭を下げて謝りました。
私が顔を上げると、会長さんは、ニッコリとして
「分かってくれたか。」
と言われました。
■そして、
「君では相手にならんといったけど、もし本当に君がこのまま謝
りにこなければ、工事を中止させるつもりやったんや。」
「今日は、休みの日やのにご苦労さんやったな。これで君の人間
性が分かった。もう説明会はいらんから。月曜から工事を再開し
てええで。」
「業者も泣いとるやろ。」
といっていただきました。
■どうも、人間の弱さで失敗しとときは他人のせいにして逃げたく
なったり、謝罪を先延ばしにしたくなったりします。
でも、実際には先延ばしにしても、いつもそのことが気になって
落ち着きません。
それに、相手にしてみればすぐに謝罪に来ないということは、軽
く受けとめられている。誠意がない。と取ります。
■この感情は、遅くなれば遅くなるほど、大きくなります。
そしてついに「今頃何しに来たんや。」
と相手にされなくなります。
このことは、私が今更いうまでもなく、皆さんもご存知なのです
が、実行するのが難しいのです。
でも、間違いなく、早く謝罪にいって悪いことはありません。
勇気を持って、すぐにあやまりましょう。
■そして、すっきりとした気分で一杯やる。
これが最高です。