木製二重窓の特許取得、置き床生活の特許出願
【隈研吾氏デザインの愛媛県立武道館の主道場】
公共建築物にもっと国産材を使って欲しいと私はいつも考えています。
とくに少年少女が日常生活し、出入りする場所には国産材をと、いつも願っています。
隈研吾氏のファン(?)になったのは、2009年7月に後輩の紹介で愛媛県久万広域森林組合の大規模製材工場を見学した折、当森林組合の木を使って建てられた公共建築物の案内をしてもらったのがきっかけです。
県立武道館を見た時は衝撃的でした。
こんな大規模かつ大空間建築物が木でできるなんて思ってもみなかったからです。
大規模建築物は鉄とコンクリートと思い込んでいたんです。
【観客席も全部一枚モノの無垢材、座った時の手触り、温かさが違います】
新国立にも使われていますが、内部の大空間は鉄骨と無垢材のハイブリッド工法になります。
体育館というと寒々しい印象しかありませんでしたが、観客席、四方の木壁、木が複雑に張り巡らせた天井を見ているとお金を払って見学しても良いような素晴らしさです。
それに、これなら地震で天井が崩落するようなことはきっとないという安心感もあります。
武道館は少年少女が、柔道や剣道などを学ぶところです。つらい練習も木の温かさが癒してくれるのです。
また、大切な役割を担う指導者の先生方も地元産の木で建てられたこの武道館を誇りに思っておられると聞きました。
【久万高原町立 久万小学校】
次に案内されたのが久万小学校でした。案内してくれた方が校長先生と知り合いといことで、中も見学することができました。この建物も地元産の木、地元産の瓦を使っています。
県立武道館の時もそうでしたが、外部の丸い柱は大木を削った無垢材、内部は地元産の木で作った集成材がふんだんに使われています。そこそこ築年数が経っているのに木の香りがまだ漂っています。
民主党政権時代、「ブチ切れる子供」対策に木質内装化が論議されたこともありましたが、うやむやになってしまいました。
県立武道館を建築する際の裏話ですが、担当するゼネコンが盛んに資材の変更を画策したそうです。
地元の木、地元の瓦など材料を指定されると、資材は県側からの支給になります。
そうです、仕入れで儲けられないのです。その施工方法では保証ができないとか、揺さぶりをかけてきたらしいのですが、当初設計の通り、地元産業の人たちが押し切ったのです。
【小学校の教室の引戸も無垢材です】
なんとも見事なデザインの建具です。
教室の通気と採光、長期間に渡る引き戸の反りの両方を考慮した設計になっています。
廊下の床はさすがに樹脂で硬化処理をしてありましたが、元気な小学生を考えると仕方がないでしょう。
それでも、相当床に傷がありました。
一般的な民間マンションでは、ガラス引き戸が活躍する場面は少ないのですが、須磨区でも横尾団地や名谷団地などの田の字プランには合うので、提案していきたいと思います。
田の字プランでは、ダイニングとリビングの仕切に引き戸が使われます。住まいの中心に経年美化する無垢建具がくると全体のインテリアグレードが上がりますからね。
【鉄と木のハイブリッド工法の講堂】
「校訓 おもいやり、良く考え、たくましく」子供たちの成長を願う良い言葉ですね。
因みに私が通っていた中学校は「死ぬな、けがすな、病気すな」でした(笑)。
私の目を引いたのは窓下に貼ってあるハーフログの腰板でした。
ハーフログとは、細い木の四方を切り落とした「かまぼこ型」形状です。
間伐材の利用という点では良いのですが、細い丸太をこのように加工するには手間がかかります。
でも一度やってみたいな。
久万高原町の小中学校がこのように地元産の木で建てられるようになったのは、やはり時の町長さんが強力に推進したからだと聞きます。地元産業を活性化したいのは誰でも考えていますが、一方で開かれた行政でなくてはならないというジレンマも抱えます。
本格的な木造建築物が増えないと、日本の大工も育成できません。仕事は経験で鍛えられているのです。
そんな意味で、安倍首相の一言で白紙撤回となった新国立競技場の設計が、木を愛する隈研吾氏のデザインに決まったのはとても嬉しいのです。木の確保はまったく問題ありませんし、経験済みの工法ですから予算も守れます。
国主導で輸入材から国産材の流れをつくることを切に願います。
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