既存インデックスだけで満足していませんか
お客さまにお伝えしたいこと
- 投資の目的次第では個別株も必要、個別株を選ぶ際には銘柄固有の魅力に注目することがポイント
- 資産運用の視点からはポートフォリオ全体で管理することが基本
株式に投資する際には、個別の銘柄を自ら選んで保有する個別株と保有銘柄を組み合わせて保有比率などを全体で管理して運用する株式ポートフォリオの2通りの運用の仕方があります。
個別株の魅力は大きくリターンが上がることです。いろいろと成功された方の体験談などを聞いていると、個別株で一儲けしてみたいと考えるのは自然かと思います。
一方で、株式ポートフォリオは分散投資でリスクを管理しながら運用できることがメリットです。
個別株はリターンの変動幅が大きい点に注意する必要があります。2025年2月12日時点でのS&P500構成銘柄の過去5年間の米ドル建てリターンの分布を見てみると、S&P500のトータルリターンが年率14.14%だったのに対して、個別株は、上は年率で80%を超える銘柄から下では同じくマイナス20%を超える銘柄もあるなど、リターンの幅が大きくなっています。
ここで注目したいのは5年間のトータルリターンが年率40%を超える5年間で株価が約5倍以上になった銘柄は、S&P500構成銘柄の中のわずか14銘柄という点です。
やはり一攫千金となる銘柄を引き当てることは、並大抵のことではないことがわかります。
このように個別株のリターン変動は大きく、運用が難しくなる背景には、注意すべきポイントが数多くあることが挙げられます。
業種や為替などの外部要因に対する影響、その銘柄が割安株なのか成長株なのかなどの特徴、またその銘柄自身の要因などです。
1点目の業種リスクはその銘柄が所属している業種の影響を受けることです。
円高で輸出関連業界の株価が下落したり、コロナ禍にホテルやレストランおよび航空業界が大打撃を受けたりしたことや、AIブームで半導体の業界が活況になっていることがわかりやすい例かと思います。
2点目の外部要因リスクは為替や原油価格などの外部要因の影響を受けることです。
円高で輸出関連の銘柄が売られたりすることや、金利が上がると銀行株が買われたりすることなどがあります。
3点目の銘柄の特性によるリスクは、投資家がどのような特性の銘柄ととらえているかが影響することです。
景気が良いと思われている際、景気に対して業績が敏感に 反応するシクリカルと呼ばれる銘柄が買われたり、逆に景気が悪いと思われている際には、業績が景気に左右されにくいディフェンシブと呼ばれる銘柄が相対的に良いリターンになったりすることです。
これらは、その銘柄だけではない業種や為替といったマクロ経済、スタイルと呼ばれる注目する特徴など共通のリスク要因となります。
最後の4点目の銘柄特有の固有リスクはその銘柄自身の材料が影響するということです。
企業独自の強みなどが注目されて株価が大きく上昇したり、企業の不祥事などで大きく下落したりすることや決算の発表に対して株価が大きく反応したりすることはよく見られます。
固有リスクは銘柄の間で関係性はないので、分散投資することでリスクを抑制させることができます。一方で、共通の要因は分散投資するだけではリスクを抑制させることはできません。
分散によるリスク管理は大事なことですが、ご自身で業種や為替のことまで考えてリスクを管理しながら銘柄を選ぶのは難しいと思います。個別株ではどうしてもリターンの変動が大きく注意しないといけない項目が多岐にわたります。
運用で知らず知らずに損失することを避けるためには重要なことがあります。それは複数の銘柄を組み合わせたポートフォリオ全体でリスク管理することです。
分散投資という言葉は皆様もご存知でしょうが、分散投資で複数の異なる銘柄で運用することでリスクを分散させて、全体のリスクを抑制させることに繋がります。
そして、分散投資したポートフォリオ全体でリスクを管理するということです。
個別株のリスクを単独で管理するのは困難です。
実際にプロの投資家も分散投資によってポートフォリオ全体でリスクを管理しています。
また、個別株に投資するにはどうしたらよいかという質問を受けるのですが、プロの投資家は共通のリスク要因ではなく、銘柄固有のリスク要因に注目しています。
共通のリスク要因を個別株だけでは管理できないのですが、それを凌駕する銘柄固有の魅力があれば投資する価値はあるということです。
纏めると株式運用は株式ポートフォリオ全体でリスクを管理しつつ、個別株については銘柄固有の魅力に注目しながら選別することがポイントとなります。
ここでは分散投資によってリスクが逓減する仕組みについて解説します。
簡易的にリスクであるリターンの標準偏差が30%で、銘柄間の関係を示す相関が0.2とした銘柄を等ウエイトで保有した場合の銘柄数とリスク水準の関係を示しています。
1銘柄で30%あったリスクが2銘柄になると約23%、4銘柄になると約19%と逓減していく様がわかるかと思います。
一方で銘柄数を増やしていっても青い点線の水準付近にとどまっていることもわかります。
低減できている部分が先ほどの銘柄固有によるリスク、青い点線部分が共通部分のリスクとお考えください。
最初の一歩は分散投資で固有リスクを削減することです。
完全にゼロにすることはできないのですが、ある程度抑制することで保有している銘柄で悪い材料があったとしても、影響を小さくすることが期待できます。
次に残された共通リスクの部分ですが、ポートフォリオ全体で管理していくということです。割安株と成長株のどちらに魅力があるか。注目している業種に重きを置くなど投資する意図に合わせたリスクをポートフォリオ全体で取っていくことで、意図しないリスクを排除して思いがけないマイナスにならないようにすることです。
意図して投資したいリターン源泉を合理的に取っていくことが、一喜一憂せずに運用していくポイントになります。
個別株と株式ポートフォリオについて対比すると以下の通りとなります。
個別株は膨大な上場銘柄から選ぶことになります。日本株の上場銘柄は、2025年1月末時点では約4000銘柄あります。一方で株式ポートフォリオはポートフォリオ特性から選ぶことになるのですが日本の公募投資信託は、2024年12月末時点で約5,800本あります。
どちらも個人の方が選ぶのはなかなか大変だと思います。
次にリスクリターンについて、個別株は特定の銘柄に投資します。様々な要因で値動きが左右されるのでリターン変動幅が大きくなります。
一方で株式ポートフォリオは幅広く分散投資するので、基本的にはポートフォリオ特性に沿った動きとなり、リターン変動幅は個別株と比べると小さくなります。
次に、企業が破綻するような信用リスクについて、個別株は無価値となる可能性があるのに対して、株式ポートフォリオは分散投資で全額損失のリスクを抑制しています。
個別株のメリットは自身で好きな銘柄に投資できることです。
個別株には大きなリターンが期待できるだけではなく、株主優待など個別株を保有しないと得られないメリットもあります。株主優待でお安く買い物や旅行ができるのは、個別株ならではの特典だと思います。
ちなみに投資信託の場合、投資信託で購入した株式の名義人は信託銀行となっているため、株主優待は名義人である信託銀行が受け取ります。そして株主優待で換金できるものは可能な限り換金をして信託財産に入れる仕組みなので、このような特典を手に入れることはできません。
長年勤めていた会社や応援したい企業などの投資は、やはり個別株で保有するのが良いのだと思います。その企業の成長とともに実感できるのは、個別株の成長が一番わかりやすいのではないでしょうか?
一方で、株式ポートフォリオのメリットは分散投資によるリスク分散です。
資産運用で着実な資産成長を目指すのであれば、まずは分散投資を優先すべきではないかと思います。資産運用の視点からはポートフォリオ全体で管理することが基本です。意図しないリスクを抑制させながら、狙いたいリターン源泉を獲得できる株式ポートフォリオを構築していくことがポイントです。
ただし、個別株はもちろん株式ポートフォリオで組み込む 商品などをご自身だけで選ぶと思わぬ落とし穴が潜んでいたりしています。
「ご自身の運用の仕方をどうしたら良いか?」
「保有している商品や銘柄に問題がないか?」
このようなことが気になる際には私たちの様な中立的なアドバイザーに相談されてみては如何でしょうか?
【関連動画】個別株と株式ポートフォリオ ~プロの投資家はどのようにして選ぶ~