日本株ファンドは何から選んだら良い?
お客さまにお伝えしたいこと
- 株式と同様に債券のリスクを単独で管理するのは困難であり、プロの投資家はポートフォリオ全体でリスクを管理しています。
- 満期保有債券と債券ポートフォリオにはそれぞれメリット・デメリットがあり、それぞれの特徴を活かしながら上手に使い分けることがポイント
債券は企業や国がお金を調達する際に発行する有価証券のことです。
債券に投資するのは、その発行体である国や企業にお金を貸すことになります。その際に発行した債券を購入して満期まで保有する形で投資するものを満期保有債券と呼びます。
イメージとしては、こちらの図にありますように企業や国にお金を貸して、持っている間は利金を受け取りますし、満期で償還されます。通常、個人の方が債券に投資する場合は、満期まで保有するのが一般的だと思います。
債券の特徴は保有している期間は、破綻しない限りは決められた利金収入があることです。
額面1000万円、期間10年間、利率が3%で税金は考慮しない簡単な例で、発行してから満期までの10年間で利金が積み上がって10年間で300万円入ってきます。
債券のもう一つの特徴は基本的には額面100で発行されて満期時に額面100で償還されることです。
発行したときから満期までは時価で変動するのですが、発行したときと満期においては次頁のオレンジの丸で示している通り、額面100になります。
そのため、資金の予定が分かり易いというのが、債券に投資する際の大きなメリットということになります。
一方で、個別の債券は株式と同様にいろいろなリスクがあります。債券を発行するのが国なのか地方公共団体なのか企業なのかという種別と言われるリスクや、社債の場合には株式と同様にその発行している企業の業種リスクがあります。
そして、発行した債券の満期までの期間に応じて金利水準が異なる期間リスクなどもあり、発行する銘柄固有のリスクもあります。
それらを単独の債券で管理するのは難しいので、プロの投資家は株式と同様にポートフォリオ全体で管理しています。
運用する目的によって、国債を中心に運用するものなのか、地方債を中心にするのか、社債を中心にするのもあります。
また、満期のところで、長い期間を中心としたポートフォリオを構築するのか、短い期間のポートフォリオを構築するのかという形でポートフォリオの組み方というのも変わります。
債券のポートフォリオの場合も、株式と同じように複数の異なる銘柄で分散投資することで固有リスクと言われる部分は徐々に低下します。
一方で分散投資でも共通のリスクは残るので、債券全体を管理する際には、この共通のリスクである種別や業種、期間の構成割合を管理しながらポートフォリオを運用します。
満期保有債券と債券ポートフォリオを比較すると以下の様になります。
投資対象について債券の場合は、上場した銘柄を市場で売買する株式とは異なり、相対で相手から直接購入するということになります。
具体的には証券会社から直接購入する形になるのですが、証券会社の取扱い銘柄は株式と比較すると少なくなります。
一方で債券ポートフォリオは投資信託とかETFなどでポートフォリオ特性などから選んでいくということになります。
投資信託の例で申し上げると、債券の公募投資信託は2025年2月時点で大体1,400本ほどあり、数多くのラインナップから選んでいくことになるかと思います。
リスク水準について、満期保有債券と債券ポートフォリオは保有する期間に応じて異なる動きとなります。
満期保有債券の場合は、満期になると元本で償還されるので、徐々にリスクが低減します。
一方で債券ポートフォリオは、そのポートフォリオ特性に応じた形でリスク水準を維持します。
また、満期保有債券は満期になると元本が償還されます。満期には元本の部分のお金が返ってきますので、運用を続けたい場合には、再投資が必要になります。
そのときに一つ気を付けるべきリスクが再投資リスクです。
ここでは米国の10年国債の利回りの推移を示しておりますが、例えば2006年の水準は大体5%程度の利回りとなっています。そこで10年の債券を購入して10年経った2016年の水準を見ていくと、2%を下回っています。
満期保有債券は投資した時点の利回りで満期まで運用することが出来ますが、満期になって再度投資しようとした際に利回りの状況次第では利回りが当初の水準よりも低下するリスクがあることに注意が必要です。
信用リスクについて満期保有債券は一つの個別の債券を購入しますので、企業が破綻した場合、社債の場合には株式と同じように無価値になる可能性があります。
債券ポートフォリオは、分散投資を行うことで破綻による全額損失というリスクが抑制されますので、信用リスクについては分散投資している債券ポートフォリオにメリットがあります。
これらを纏めると、満期保有債券の場合は、保有している期間は安定的な利益の積み上げができるというところと満期で償還されるというところで資金の動きが予定されていることがポイントです。一方で債券ポートフォリオは、分散投資に加えて継続して運用を続けることで複利効果を活かした中長期的な資産増加が期待できます。
投資するお金があらかじめ使う予定が決まっているお金、例えば5年後に使うお金とかの部分であれば、その5年の満期に合わせた形で満期保有債券を活用するのがニーズに適合していますし、安定的な資金で運用したいという場合に当面使う予定が無いものであれば、債券ポートフォリオを活用して複利効果を生かした形で運用することがメリットを享受できることになります。
このように満期保有債券と債券ポートフォリオは運用するお金の目的に応じて使い分けていくのが良いかと思います。
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