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コラム
患者に対する医師の説明が不十分になってしまう理由
2014年7月3日 公開 / 2023年9月23日更新
前回のコラムで、説明義務違反という医療事故の形があることを説明しました。
説明義務違反とは、端的にいえば説明不足です。
患者の側の勘違い
こうした医師による説明不足が起こる根本的な要因の一つとしては、医師の問題ではなく、「患者さんが医師の仕事を勘違いしている」ことが挙げられると思います。
以前もコラムで書いたとおり、医師の仕事は、病気を治すという結果が目的ではなく、「病気が少しでもよくなるように頑張る」という行為が目的です。
診療契約は法律上も「準委任契約」という「診療という行為を依頼する契約」とされているため、結果を出すことは契約の目的でもないのです。
ですから、患者さんとしては、病院にかかる際には、そもそも結果を期待して「何でもお任せします」という態度ではよくないということになります。
医師の態度にも問題が
逆に、これを医師の側から見た場合、多忙な医師は時間をかけて説明することを避けたくなるでしょうから、説明を省略して「任せておけ」という態度になってしまうこともあるかもしれません。
しかし、これでは、患者から結果を引き受けているように誤解されてしまう可能性が高くなるのも無理はないと思います。
これで悪い結果が出なければよいですが、もし悪い結果を生じさせてしまった場合には、当然患者さんから追及を受けることになるわけです。
正しく「自分の治療は自分で決める」
みなさんは患者の側である方がほとんどだと思いますので、患者としてもう少し賢くなって、「自分の治療は自分で決めるもの」という意識をもう少し持った方がよいと思います。
とはいえ、もちろん、これは程度問題です。
素人である私たちがちょっと調べたくらいの知識で「私が調べたらこういうよい治療があったからこれをしてくれ」とお医者さんに強要するのは本末転倒です。
「自分の治療は自分で決めるもの」という意味は、お医者さんからきちんとしたリスク説明を受けた上で、最終的にどのような治療方針を選択するかどうかの決定は自分で行うものだ、という意味です。
他方、お医者さんも、お忙しいとは思いますが、「どうせ素人にはわからないだろう」などという態度にはならずに、患者さんの自己決定権を尊重するような説明を尽くしていただければと思います。
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