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病気や検査を見落としたミスの可能性

川島英雄

川島英雄

テーマ:医療事故

見落としの可能性

 定期的な検査や通院をしていたのに、重大な病気を発見してもらえなかったというケースもよく相談されます。

 例えば、人間ドックで腫瘍マーカーを毎年チェックしているのにがんの早期発見に至らなかった場合、別の病気で定期的に通院していたのに血液検査結果の異常を指摘してもらえなかった場合、体をぶつけて整形外科へ通院してレントゲンを撮ったのに骨折を見逃された場合、などが考えられます。

本当に見落としだったのか?

 こういう場合、医師が病気や異常のサインを見落としたのではないかということが疑われます。ですが、そうはいっても必ず見落としだったと断言できるわけではありません。

 実際に悪性腫瘍が生じていても、検査数値が異常値を示さないこともあります。
 血液検査の数値が異常値を示した理由が別の病気のせいであるため何も手を打たなくてもやむを得ないということもあります。
 そのレントゲン写真が、骨折をレントゲンから読みとることができるかどうかお医者さんの間で揉めてしまうような微妙なレントゲン写真であることもあります。

医療ミスといえるかどうかのポイント

 結局、裁判で「過失」、つまり医師のミスであると認められるためには、一般の医療水準を想定した場合にその一般水準に沿った対応をその医師が行っていたといえるかどうかかポイントとなるのです。
  
 悪い結果が生じてしまうと、どうしても「見落とされた」と考えたくなるのが人間の心情であり、それは特別なことではありません。
 むしろ自然な心情だと思います。

 ですが、医療事故かどうかを考えるときには、結果だけを判断するのは相当ではありません。
 あくまでも、そのお医者さんがどんな検査や診察などをしていたのか、その対応が一般の医療水準に合致していたのかどうかという、医師の行動を判断対象とする思考が必要となります。

弁護士に相談してみてください

 もっとも、お医者さんも人間ですから、自分のミスを積極的に言いたくないものです。
 ですから、病院で説明を受けた際には「やむを得ない理由で発見が遅れてしまいました」という説明をしていたとしても、実は異常のサインを見落としていたという場合も当然ありえます。

 ですから、いずれにしても直ちに決めつけたりせず、「ミスの可能性もあるかもしれないし、そうではないかもしれない」と考え、まずは弁護士に相談してみてください。

 もちろん、医療事故の相談をする際には、なるべく医療事件を多く取り扱っている弁護士の方が好ましいと思います。

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川島英雄
専門家

川島英雄(弁護士)

札幌おおぞら法律事務所

 コミュニケーション能力と、医学的な知識を武器に、交通事故・医療事故の被害者側の案件を重点的に取り扱っている。複数の弁護士が所属する法律事務所の一員で、サポート体制も万全。

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