医療事故調査制度の利用
一般論として、弁護士に早めに相談した方がよいということは以前にもコラムで書きましたが、どうしてそういえるのか。
今回は、医療事故(医療過誤)事件です。
このようにあらためて書かなくても、医療事故を疑った場合は、比較的多くの方が弁護士に相談すること考えるのではないかと思います。
ですが、やはり医療事故の場合も、少しでも相談は早い方がよいといえる根拠があります。
解剖するべきか否か
まず、解剖するか否かの判断が迫られるということがあります。
実は、医療事故が疑われるような形での死亡が生じた場合、原因究明には解剖が極めて重要となります。
残された家族としては解剖に抵抗感があるかもしれません。
ですが、もし後に医療事故を疑って「真実を知りたい」と思ったとき、解剖をしていないと、原因の特定に至らず真実がわからないままとなりかねないのです。
もっとも、病院で死亡したどんなケースでも解剖した方がよいというわけではありません。
ですから、解剖すべきか否かという場面でも、早めに相談していただきたいのです。
急に死亡という結果に直面してしまった場合、解剖するべきか否かの選択をその時点で急に弁護士に相談することは、時間的に困難かもしれません。
ですが、このコラムを見ていただいた方は、将来医療事故が疑われる場に直面し、もう延命があまり期待できないというような状況となったとき、解剖して真実を明らかにすべきか否かについて弁護士に相談するという選択肢を、頭に入れておいていただければと思います。
病院との対応の仕方
次に、治療が継続している場合や死亡事故の場合に、病院とどのように対応していくかという点が挙げられます。
医療事故を疑う状況に直面した際、まだ治療が継続しているのであれば、その後も治療を継続したいと思うのが通常です。
ですが、医療事故を疑う状況に直面している場合には、その病院で治療継続することを望む人はあまり多くないでしょう。
他方、全てのケースで必ず病院を変えるべきであるとも限りません。
よって、このような場合も、その後の対応について早めに相談していただくことをおすすめします。
また、死亡事故の場合も、その後病院がどのような対応をしてくるか不明な場合も少なくありません。
また、仮に病院から何らかの働きかけがあった場合にも、どのように対応すべきかという点で悩むことが多いのではないかと思います。
このような場合も早めに相談していただいた方がよいと思います。
弁護士に相談したからといって、必ず事件の依頼をしなければならないわけではありません。
後になって困ることがないように、医療事故の場合でも、少しでも早い段階で相談していただければと思います。