弁護士は診療録を読むことができると思いますか?
よくよく考えると当たり前のことなのですが、実は、診療録を読む必要があるのは、医療事件に限りません。
診療録を使う場面
例えば、交通事故で大きな後遺症が残ってしまったのに、その後遺症の程度を保険会社に争われた場合に、診療録は非常に大きな意味を持ちます。
また、相続の場面で、自分の知らないところで故人の遺言書が作成されていたことが判明したものの、作成された時期にはもう故人に判断能力がなかったはずだと疑問に思ったときなども、病院の記録を見てその頃の本人の能力を見極めるということが必要となるでしょう。
交通事故の場合の診療録
とはいえ、実際のところ、医療事件以外で診療録をよく使うのは、やはり交通事故の事件が多いかもしれません。
むちうちの後、しびれが後遺症として残ったと思っても、保険会社が後遺症として認めてくれないという場合はよくあります。
こういう場合には、診療録を取り寄せて、ご本人の症状の経過や医師の所見、検査結果などを照らし合わせて、事故による傷害が現在の後遺症につながっているといえるかどうかを精査します。
また、交通事故で頭を打った場合には、後に高次脳機能障害か否かという点が問題となることもあります。
さらに、高次脳機能障害であることは確かだとしても、その程度について保険会社から争われるということも少なくありません。
こういう場合も、診療録にどのような記録がなされているかによって、結論が大きく変わってくるところです。
そのほか、最近は脳脊髄液減少症や脳脊髄液漏出症と呼ばれる疾患が大きく争われていますが、これらは医療の現場でも議論されている真っ最中ですので、特に医学的な検討が必要なものといえます。
このように、診療録を使う事件は様々で、医療事故事件の場合に限りません。
ですから、医療事故だけではなく、別の分野の事件だけれども医療的な知識が必要となる事件のときにも、医療知識のありそうな弁護士、診療録を読めそうな弁護士を探してみることを考えていただければと思います。