「早期」に弁護士に相談するメリット
今回は、弁護士の実態について説明したいと思います。
弁護士の「専門」
弁護士へ相談しようと考えるみなさんは、「専門の弁護士」を求めたいのではないかと思います。
実際、「専門」を標榜している弁護士も少なからずいます。
ですが、残念ながら、現時点では一部の例外の除き、弁護士会が「専門」を認定するシステムはありません。
「専門」を標榜する弁護士がいたとしても、それは「自己申告」でしかありません。
弁護士の「専門」は「やる気」
「専門」という言葉の意味には、「限られた分野の学問や職業にもっぱら従事すること」のほかに、「もっぱら関心を向けている事柄」という意味があります。
普通、専門と聞けば、前者の意味を思い浮かべると思います。
ですが、弁護士についていえば、実は、離婚、相続、交通事故など、特定の一つの分野の事件しか扱わない弁護士はそれほど多くありません。東京や大阪の弁護士であればともかく、全国の大多数の地域ではごく少数です。
他方、特に関心を持って熱心に取り組もうとしている分野を持っている弁護士であれば、それなりにいると思います。
ですから、先ほどの後者の意味、「もっぱら関心を向けている事柄」としての「専門」であれば、「専門」弁護士もそれなりにいるといえるかもしれません。
その意味では、自己申告による「専門」の標榜も、やる気の表れだと考えれば間違いではありません。ただ、客観的な根拠はありませんので、誤解しないようにしていただけたらと思います。
このように、弁護士の「専門」については、実績などの客観的な評価というより、その弁護士のやる気を表しているものと考えた方がよいと思います。
最近は弁護士のホームページが充実してきているので、「その分野に特に関心を向けている弁護士」であれば探しやすくなっていると思います。
あくまでも各弁護士の自己申告ではありますが、「やる気」も大事だと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
「実績」は頼りにならないかも？
弁護士の中には、「実績」を強調して専門の根拠にしている人もいます。
では、実績は本当に信頼できるのでしょうか？
確かに、ある分野の事件について、1件も取り扱ったことがない弁護士と、複数回取り扱ったことがある弁護士とでは、経験の有無という面で差が生じる可能性はあります。
しかし、事件というのは、似ている事案であっても、厳密には一つ一つ違います。ですから、似た事件を取り扱ったことがあったとしても、今回のあなたの事件で過去の事案と同じような結果を導くことができるかというと、そうとは限りません。
また、ある裁判でとてもよい結果が出た実績があったとしても、それは、他の弁護士が取り扱っても同じ結果だった可能性も十分ありえます。
そうだとすると、その実績は、その弁護士の実績であったとしても、特に優れた弁護士であることを示しているとは限らないことになります。
ですから、大きな結果を出したという実績が示されていたとしても、それが、その弁護士の力で勝ち取れたものとは限らないので、いきなり結果だけに飛びついたりしないようにしてください。
そもそも、弁護士の能力は、裁判で勝てるかどうかだけでは測れません。例えば、裁判で負けそうな見通しの事件であれば、いかにして裁判外で話し合いうまく解決するかということや、依頼者が勝ち負けよりも大事にしたいと思っていることがあれば少しでも寄り添ってあげられるようにすることも、弁護士の仕事のひとつです。
裁判結果などの実績のみで、弁護士の能力を比較できるとは限らないのです。
よって、弁護士の実績については、能力の指標ではなく、ある分野の経験があるのかないのかという、その分野の取り扱い経験を表しているものというくらいに考えていただければと思います。
